2005年 06月 19日
ATM
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〔ATMの特徴〕
・ATMレイヤの通信機能は、シグナリング手順による仮想チャネル識別子の対応関係を設定して通信を開始するので、コネクション型である
●ラベル多重:ATMセルヘッダ内の識別子を用いた多重化方式
〔ATMの通信形態〕
●PVC:あらかじめ固定的に設定されたVCコネクションを用いるサービス
・コネクション設定フェーズがないので、接続遅延を生じない
●SVC:Cプレーンのプロトコルによって自動的に接続が確立されるサービス
コネクション型 用途
PVC 契約に基づいて通信チャネルを固定的に設定する 通信時間が長く定常的に通信を行っている場合
SVC 不特定多数の相手と接続を行うため、シグナリングを行う 同一端末間の通信時間が短い場合
〔ATMネットワークにおけるトラヒック制御〕
・ATMネットワークにおけるトラヒック制御は、一般的に、ネットワークレベルの制御、呼レベルの制御、セルレベルの制御の三つに分類できる
・ATM交換ノードはCACにより、申告値に必要なリソースを当該呼に割り当てが可能か否か、すなわち、要求された伝送帯域が所要のセル損失率やセル転送遅延を保証できるか否かを判定して呼の受付制御を実施する。
●CAC(Connection Admission Control:コネクション受付制御):ユーザからの接続要求に対し、ネットワーク側のトラヒック状態などを調べ、要求されたサービス品質での通信が可能か否かを判断する制御機能
・使用中コネクションのトラヒックに、新しいコネクションのトラヒックを加算したときの通信品質を推定し、その通信品質が要求条件を満足する場合に、コネクションを受け付ける
・CACのアルゴリズムは、トラヒック特性によって異なり、CBRのようにピークセルレートが決まっているものは、各コネクション帯域の加算により受付判定が可能である
・コネクションの受付において、ネットワーク内の伝送路容量と比較して通信のPCRが十分に低い場合、トラヒック特性が分かっていなくても統計的なセル損失率を推定してCAC制御を行うことが可能である
・CACによるコネクション受付処理後、実際に通信が開始される際には、ネットワーク内の通信品質を維持するために、CACで受付した申告トラヒックを基に監視が行われる
・端末からATMネットワーク内に流入したトラヒック量>発呼時申告されたトラヒックの値
のような状態を避けるため、UPCにより通信中においても端末からのトラヒックを常時監視し、ATMネットワークに流入するトラヒック量がセル損失率に対応した量であるかどうかの監視、制御を行う
●UPC(Usage Prameter Control:使用量パラメータ制御):ATM端末から送出されるトラヒックが、ユーザの申告値を超えていないかどうかをATM網の入口で監視する機能
・トラヒックパラメータを超えた違反したセルに対して、廃棄、タギング又はスムージングを行う
「セル廃棄:セル廃棄規定としては,1.廃棄,2.スムージング,3.バイオレーションタグ付与などの方式がある.廃棄は違反セルは即座に廃棄するのであるが,スムージングではバッファメモリーに蓄えて再送する.これは電話や動画映像などのようなシリアルデータにはむかない.バイオレーションタグはCLPに1を入れて返送することで送信端末にデータ転送流量を減らすことを要求するのである.」
〔参考〕5:ATM転送方式の仕組
・UPCの一つの方式であるデュアルリーキィパケット方式では、セルが一時的に急増しバッファからあふれると、規定値違反と判定される。
「ATM網におけるユーセージパラメータ制御(UPC)のための機構としてGCRAが標準化されている。それはLeaky Bucketとして知られている方式と同等である。その他に、Jumping WindowやMoving Windowなどの方式もそのために提案されている。」
●トラヒックシェーピング:バースト性の高いトラヒックなど申告値よりもオーバーしたトラヒックを平準化する制御
・申告値を超えたATMセルが送信された場合でも、ATMネットワークの規定値を保つことができるように、最少セル間隔の調整、セルを一定の範囲で遅延させるなどを行う
・申告値を超えたATMセルが、ATM網の規定値に合うように一定の範囲で遅延される
●PTI(Payroad Type Indicater):ATMセルヘッダの3ビット
・ATMネットワークに輻輳が発生した場合、着信側ユーザには、ATMセルヘッダのPTI値を用いて輻輳が通知される
・第1ビット…ペイロードへのデータの格納がどのAALによって行われているかを示す
・第2ビット…セルの背後にある輻輳をアプリケーションに知らせる(明示的前方輻輳通知)
・第3ビット…セルがOAM情報を含んでいるかどうかを示す
・物理レイヤにおけるセルエラー(セルヘッダ誤りによるもの)
・ATMノード間の経路やセル転送経路の故障
・輻輳になったときのバッファ領域不足(ATMノードのバッファオーバフローによるもの)→ノード内にトラヒックを吸収するバッファを設置する(ただし、ネットワーク内での転送遅延が大きくなる)
〔輻輳を回復させる方法〕
・新しいコネクションの受付中止
・優先制御によるセルの遅延
・エンドユーザへの輻輳通知
〔セル転送遅延要素〕
(固定的な遅延)
・ATMノードにおいてセルを多重変換するために生ずる転送待ち時間(セル転送時間)
・セルスイッチング時間
・伝送路の伝搬時間
(可変的な遅延)
・他のコネクションから発生するセルと転送要求が競合した場合
〔ATMネットワークのリソース〕
・ATM交換ノードの処理能力に違いがなく、異なるVCでも経由するVPが同じであれば、セル損失やセル転送遅延特性などのパフォーマンスは、ほぼ同じになる
・ATMネットワークの通信品質を保証しない場合は、無条件に呼を受付けた上で、ATMネットワークが混雑して通信品質が劣化したとき、端末で再送又は送出情報量を減らすなどの対処を行う必要がある
〔OAM機能〕
●OAM(Operations, Administration and Maintenance:保守運用管理部):制御管理用セルで実行される種々のネットワーク管理機能
・OAM機能は、5階層構成であり、そのうちATMレイヤでは、VPレベルで行うF4とVCレベルで行うF5がある
・OAMフローには、ATM端末相互間のエンド・エンドフローとネットワークノード間のセグメントフローがある
・F4フローは特定のVCI値により、F5フローはPTI値により識別される
〔参考〕
F4:第Ⅳ編 ATMメガリンクサービスのP60
F5:第3編 サービス仕様のP34
・性能監視機能は、転送される一定数のユーザセルごとに性能監視セルを挿入して、測定区間中の符号誤り数(エラーレート)、セル損失、遅延特性などの伝送品質を、VPやVCごとに測定する
・故障管理機能には、警報転送機能、コンティニュイティチェック機能、ループバック機能がある
●警報転送機能:物理レイヤ又はATMレイヤの転送機能に故障が発生した場合に、VPやVCが使用できないことを通知する機能
・物理レイヤ又はATMレイヤの故障を検出した装置から、VP又はVCに対して故障を表示するOAMセル(AISセル及びRDIセル)を送出することで故障通知が行われる
VP-RDI:受信側で一定時間以上ユーザ情報セル又はOAMセルの受信がない場合は故障と判断して、送信側に送出する信号
VP-AIS:VPコネクションの故障が検出された場合に、その故障をその接続点から受信側方向に通知するための信号
●コンティニュイティチェック機能:ユーザセルまたはコンティニュイティチェックセルを用いて、VPやVCが導通しているかを常時監視する機能
・受信側では判定できないVPやVCの導通を常時確認できる
・サービスを行っている状態でも導通試験が可能
●ループバック機能:VPやVC上の任意の指定区間における導通確認を、サービスを中断することなく行う機能
・主に部分区間の導通確認及び故障点の特定に用いられる
・商用サービスのセルを一時的に別のルートにう回させる必要はなく、ループバック用のOAM用セルを空いた位置に挿入して送出する(非同期なのでどこにつっこんでも問題ない)
・ATMレイヤのOAM機能は、VPレベル及びVCレベルにおいて、OAMセルを用いて実現される
・OAMセルのペイロードの先頭バイトは、どのOAM種別のOAM機能に用いられるセルなのかを識別する領域となっている
・ペイロードの残りの領域には、各OAM機能で個別に定義される情報及び誤り検出ビットなどが挿入される
・OAMセルは、対象VP又はVCのユーザセルとともに転送されるため、ユーザ情報と識別することが必要となる
OAMセル 与えられる値 ユーザセルとの識別
VP用 対象VPのVPI値 特定のVCI値
VC用 対象VCと同一のVPI/VCI値 特定のPTI値
〔ATMセルのヘッダ〕
・ATMセルのヘッダには、ATMセルをあて先まで送り届けるために必要なコネクション識別子であるVPIとVCIとがある
●VC(Virtual Channel:仮想チャネル):論理的な通信路
●VP(Virtual Path:仮想パス):複数のVCを束ねた論理的な通信路
・VPとVCはATMレイヤで定義される
・VP⊇VC(VPの方が偉い!)
・同一物理レイヤ内の、あるVPに収容されるVCと別のVPに収容されるVCは、同一のVCIを用いることができる
●UNI(User Network Interface):ATM網とATM端末とのインタフェース
GFC(4)+VPI(8)+VCI(16)+PT(3)+CLP(1)+HEC(8)~ペイロード
●NNI(Network to Network Interface):ATM網相互間のインタフェース
VPI(12)+VCI(16)+PT(3)+CLP(1)+HEC(8)~ペイロード
・ VPI VCI
UNI 8ビット 16ビット
NNI 12ビット 16ビット
●PT(Payroad Type):セルに含まれるペイロードのタイプを識別する3ビット記述子
・VCレベルのOAMセルの識別、リソース管理セルの識別、輻輳の有無の識別を行う
・AALタイプ5の場合、上位レイヤのパケット境界検出に用いられる
●GFC(Generic Flow Control:一般的フロー制御):端末とネットワーク間におけるフロー制御を行うために割り当てられている領域
・NNI→4ビットのGFC領域
UNI→GFC領域を有していない
●CLP(Cell Loss Priority:セル損失優先表示):セル廃棄の優先を表示するフィールド
・ユーザの申告値を超えたATMセルへのタギングでは、ATMヘッダ内のCLP値が0→1に置き換えられる
・網の輻輳時には、CLP=1のセルは優先して廃棄される
●HEC(Header Error Control:ヘッダ誤り制御):セルヘッダに発生するビット誤りを検出・訂正するための領域
・これより前のHEC自身を含まないヘッダ領域(4バイト)に対して、8ビットのCRCを用いる
●セル同期:連続するビット列からセルの先頭を見つけ出し、特定すること
・セル同期をとるために、CRCによるヘッダ部分の演算をしている時点で、偶然ヘッダ以外のユーザ情報の中でCRC剰余が0になることを避けるために、ユーザ情報に対して自己スクランブルを行っている
・前同期状態で、1回でもHEC誤りが検出されると、ハンチング状態に戻る
・同期状態において、連続して7回のヘッダ誤りを検出した場合、ハンチング状態にステータスを移行する *前同期状態でせっかく6回連続正しくても、同期状態で7回連続誤ると、結局ハンチング状態に戻ってしまう
〔参考〕第Ⅵ編 伝送路インタフェース(LI)P132
〔ATMセルの種類〕
●空きセル:物理レイヤで速度整合のために生成・挿入され、他の用途には使用されないATMセル
●有効セル:空きセル以外で、ヘッダ誤りを含まないATMセル
●無効セル:空きセル以外で、ヘッダに誤りが検出され、かつ、それが訂正できなかったATMセル
〔参考〕第1編 用語の説明
〔ATMレイヤサービスカテゴリ〕
┌トラヒックパラメータ…PCR、MCR、SCR、MBS、CDVT
サービスカテゴリ―|
└QoSパラメータ…CDV、MCTD、CLR
●CBR(Constant Bit Rate:固定ビットレート):PCR(ピークセルレート)を定め、CTD(セル転送遅延)、CDV及びセル損失率を保証するサービス
・回線交換サービスの転送に適している
●CTD(Cell Transfer Delay:セル転送遅延):送信元UNIから受信側UNIに到着するまでの経過時間
CTD=ATMノード間の総伝送遅延+ATMノードの総処理遅延
●CDV(Cell Delay Variation:セル遅延変動許容量):バッファリングとセルスケジューリングによって派生するセル転送遅延を示す変動要素
●VBR(Variable Bit Rate:可変速度サービス):PCR(ピークセルレート)の他にSCR(平均セルレート)やMBS(最大バースト長)を定め、可変速度符号を用いた音声/映像転送や蓄積型データ通信を想定しているサービス
・リアルタイム通信用のrt-VBRと、蓄積通信用のnrt-VBRの二つのカテゴリがある
・セル損失率を保証している
●PCR(Peak Cell Rate:最大セル速度):単位時間あたりに転送できるセル数の最大値
●SCR(Sustainable Cell Rate:平均セルレート):持続可能なセル転送率
●MBS(Maximum Burst Size:最大バースト長):PCRで連続して送信できるバーストデータの最大値
●UBR(Unspecified Bit Rate):基本的に品質を保証しないが、ファイル転送や電子メールなどの非リアルタイムデータ転送アプリケーションに適したサービス
●ABR(Available Bit Rate:使用可能ビットレート):利用可能帯域の伝送速度
・RM(リソース管理)セルを用いて、MCRを保証した上、MCRとPCRの間に収まるように速度調整されることから、空きの帯域幅をできるだけ利用したいユーザに便利なサービスである
●MCR(Minimum Cell Rate:最低セル速度):常に送信できることが保証されている転送速度
〔参考〕第Ⅰ編 用語の説明
〔OSI参照モデルに準拠したATM網のプロトコル構成〕
┌レイヤ
ATM網のプロトコル―| ┌制御プレーン
└プレーン+ユーザプレーン
└管理プレーン
●管理プレーン(M-Plane):ATM網の保守やトラヒック状態の管理などの運用に関するプロトコル
・ATM網の監視情報や各種統計資料の収集などのために使用される
・ユーザ端末やネットワークでの故障情報、ネットワークの設備構成情報及び通信品質などの管理情報を必要に応じて相互にやりとりするインタフェースを提供する
●制御プレーン(C-Plane):ATM端末とATM網との間で呼やコネクションの設定、解放等に関する制御情報を扱うプロトコル
・ユーザ端末間でのユーザ情報転送のために必要なエンドツーエンドの仮想コネクションを設定するために用いられる
●ユーザプレーン(U-Plane):ATM端末がATM網を介してユーザ情報を送受するために使用するプロトコル
・上位層プロトコルデータやアプリケーションデータの送受を行うために用いられる 〔参考〕WAN中級編[B-ISDN]
ユーザプレーン、制御プレーンについては、次のようなレイヤ構成になります。
・物理レイヤ(PL:Physical Layer)
・ATMレイヤ
・AAL
・ユーザ定義レイヤ
〔ATMのサービスクラスとAALタイプ〕
・AALは、上位レイヤの要求により、フロー制御、誤り制御、タイミング制御等を実行する
・AALが上位レイヤに対して提供するサービスクラスの分類
・発着間でのタイミング関係の要・不要
・取り扱うトラヒックのビットレートが固定か可変か
・通信に先立つコネクションの有無
・AAL(AALタイプ2以外)は、セルのペイロード単位の処理を行うSARと、フレーム単位の処理を行うCSの二つのサブレイヤから構成されている
●CS(Convergence Sublayer:コンバージェンス副層)
エラーチェックおよび他の制御を行うための8バイトのトレーラが付加され、PDUの全長が48バイトの倍数になるようにパディングが付加される
●SAR(Segmentation And Reassembly:分割組み立てサブレイヤ)
CSで処理されたプロトコルデータユニットを受け取り、48バイトのペイロード データに分割して、後続の処理のためにそれらをATM層に渡す
AALタイプ1
・音声や画像伝送などを固定速度で、かつ、コネクション型であるサービスクラスAを実現するプロトコル
・リアルタイム性の高い通信の場合、再送による誤り回復ができないため、AALタイプ1では、FECを付加した情報の転送方式を採り、誤り訂正をしている
・セル損失及び誤挿入の検出は、SAR-PDUのシーケンスナンバフィールドを用いて行われる
・コンバージェンスサブレイヤの機能として、ソースクロックの再生機能がある
・情報送信間隔が一定である
AALタイプ5
・ATMコネクション上での多重機能がない
・セルごとに誤り検出を行わず、CPCS-PDUごとにCRCチェックで誤り検出を行う
・主なサービスには、データ転送サービス及びシグナリング情報転送サービスがある
・AALタイプ5のSAR-PDUには、ヘッダ、トレイラは含まない
〔参考〕コンピュータネットワークの発展
クラスA CBR AALタイプ1 実時間性が要求される音声・画像転送に適用される
クラスB VBR AALタイプ2 可変速度の音声、映像等のサービスを提供する
クラスC コネクション型VBRのAAL3とコネクションレス型VBRのAAL4
クラスD コネクション/コネクションレス型VBRのAAL5
〔ATMスイッチ内のバッファメモリの配置方法〕
●クロスポイントバッファ型…動作速度に制限が生じにくく、メモリ個数がスイッチ規模の2乗に比例する
●入力バッファ型…セル競合制御部の動作周波数によりスループットが制限される
●共通バッファ型…大規模なバッファを共通的に持つことによりトラヒックを効率的に処理できるが、バッファメモリへのアクセスの増大がスループット上のネックになる
●出力バッファ型…スイッチ規模に比例して、バスの高速化が必要となる
・ATMレイヤの通信機能は、シグナリング手順による仮想チャネル識別子の対応関係を設定して通信を開始するので、コネクション型である
●ラベル多重:ATMセルヘッダ内の識別子を用いた多重化方式
〔ATMの通信形態〕
●PVC:あらかじめ固定的に設定されたVCコネクションを用いるサービス
・コネクション設定フェーズがないので、接続遅延を生じない
●SVC:Cプレーンのプロトコルによって自動的に接続が確立されるサービス
コネクション型 用途
PVC 契約に基づいて通信チャネルを固定的に設定する 通信時間が長く定常的に通信を行っている場合
SVC 不特定多数の相手と接続を行うため、シグナリングを行う 同一端末間の通信時間が短い場合
〔ATMネットワークにおけるトラヒック制御〕
・ATMネットワークにおけるトラヒック制御は、一般的に、ネットワークレベルの制御、呼レベルの制御、セルレベルの制御の三つに分類できる
・ATM交換ノードはCACにより、申告値に必要なリソースを当該呼に割り当てが可能か否か、すなわち、要求された伝送帯域が所要のセル損失率やセル転送遅延を保証できるか否かを判定して呼の受付制御を実施する。
●CAC(Connection Admission Control:コネクション受付制御):ユーザからの接続要求に対し、ネットワーク側のトラヒック状態などを調べ、要求されたサービス品質での通信が可能か否かを判断する制御機能
・使用中コネクションのトラヒックに、新しいコネクションのトラヒックを加算したときの通信品質を推定し、その通信品質が要求条件を満足する場合に、コネクションを受け付ける
・CACのアルゴリズムは、トラヒック特性によって異なり、CBRのようにピークセルレートが決まっているものは、各コネクション帯域の加算により受付判定が可能である
・コネクションの受付において、ネットワーク内の伝送路容量と比較して通信のPCRが十分に低い場合、トラヒック特性が分かっていなくても統計的なセル損失率を推定してCAC制御を行うことが可能である
・CACによるコネクション受付処理後、実際に通信が開始される際には、ネットワーク内の通信品質を維持するために、CACで受付した申告トラヒックを基に監視が行われる
・端末からATMネットワーク内に流入したトラヒック量>発呼時申告されたトラヒックの値
のような状態を避けるため、UPCにより通信中においても端末からのトラヒックを常時監視し、ATMネットワークに流入するトラヒック量がセル損失率に対応した量であるかどうかの監視、制御を行う
●UPC(Usage Prameter Control:使用量パラメータ制御):ATM端末から送出されるトラヒックが、ユーザの申告値を超えていないかどうかをATM網の入口で監視する機能
・トラヒックパラメータを超えた違反したセルに対して、廃棄、タギング又はスムージングを行う
「セル廃棄:セル廃棄規定としては,1.廃棄,2.スムージング,3.バイオレーションタグ付与などの方式がある.廃棄は違反セルは即座に廃棄するのであるが,スムージングではバッファメモリーに蓄えて再送する.これは電話や動画映像などのようなシリアルデータにはむかない.バイオレーションタグはCLPに1を入れて返送することで送信端末にデータ転送流量を減らすことを要求するのである.」
〔参考〕5:ATM転送方式の仕組
・UPCの一つの方式であるデュアルリーキィパケット方式では、セルが一時的に急増しバッファからあふれると、規定値違反と判定される。
「ATM網におけるユーセージパラメータ制御(UPC)のための機構としてGCRAが標準化されている。それはLeaky Bucketとして知られている方式と同等である。その他に、Jumping WindowやMoving Windowなどの方式もそのために提案されている。」
●トラヒックシェーピング:バースト性の高いトラヒックなど申告値よりもオーバーしたトラヒックを平準化する制御
・申告値を超えたATMセルが送信された場合でも、ATMネットワークの規定値を保つことができるように、最少セル間隔の調整、セルを一定の範囲で遅延させるなどを行う
・申告値を超えたATMセルが、ATM網の規定値に合うように一定の範囲で遅延される
●PTI(Payroad Type Indicater):ATMセルヘッダの3ビット
・ATMネットワークに輻輳が発生した場合、着信側ユーザには、ATMセルヘッダのPTI値を用いて輻輳が通知される
・第1ビット…ペイロードへのデータの格納がどのAALによって行われているかを示す
・第2ビット…セルの背後にある輻輳をアプリケーションに知らせる(明示的前方輻輳通知)
・第3ビット…セルがOAM情報を含んでいるかどうかを示す
「コネクションの受付においては、ATMネットワーク内の伝送路容量と比較して通信のピークセルレートが十分に高い場合、トラヒック特性が分からなくても、統計的にセル損失率を推定して優先制御を行うことが可能である。」〔セル損失が発生する主な要因〕
がなぜ誤りなのかわからず…_| ̄|〇
コネクション受付時の話といえばCACを行い、受付後の違反監視にはUPCで行います。
契約時に登録したトラフィック特性(そのユーザはCBRか、UBRかとか)をもとに、ATM交換機は輻輳状況等を勘案し、その呼を受付可能かどうかを判断します。
よって、巨大なPCRを持つユーザをとりあえず受け付けてから、優先制御でなんとかセルを転送しようとしているように見えますが、ありえません。
・物理レイヤにおけるセルエラー(セルヘッダ誤りによるもの)
・ATMノード間の経路やセル転送経路の故障
・輻輳になったときのバッファ領域不足(ATMノードのバッファオーバフローによるもの)→ノード内にトラヒックを吸収するバッファを設置する(ただし、ネットワーク内での転送遅延が大きくなる)
〔輻輳を回復させる方法〕
・新しいコネクションの受付中止
・優先制御によるセルの遅延
・エンドユーザへの輻輳通知
〔セル転送遅延要素〕
(固定的な遅延)
・ATMノードにおいてセルを多重変換するために生ずる転送待ち時間(セル転送時間)
・セルスイッチング時間
・伝送路の伝搬時間
(可変的な遅延)
・他のコネクションから発生するセルと転送要求が競合した場合
〔ATMネットワークのリソース〕
・ATM交換ノードの処理能力に違いがなく、異なるVCでも経由するVPが同じであれば、セル損失やセル転送遅延特性などのパフォーマンスは、ほぼ同じになる
・ATMネットワークの通信品質を保証しない場合は、無条件に呼を受付けた上で、ATMネットワークが混雑して通信品質が劣化したとき、端末で再送又は送出情報量を減らすなどの対処を行う必要がある
〔OAM機能〕
●OAM(Operations, Administration and Maintenance:保守運用管理部):制御管理用セルで実行される種々のネットワーク管理機能
・OAM機能は、5階層構成であり、そのうちATMレイヤでは、VPレベルで行うF4とVCレベルで行うF5がある
・OAMフローには、ATM端末相互間のエンド・エンドフローとネットワークノード間のセグメントフローがある
・F4フローは特定のVCI値により、F5フローはPTI値により識別される
〔参考〕
F4:第Ⅳ編 ATMメガリンクサービスのP60
F5:第3編 サービス仕様のP34
・性能監視機能は、転送される一定数のユーザセルごとに性能監視セルを挿入して、測定区間中の符号誤り数(エラーレート)、セル損失、遅延特性などの伝送品質を、VPやVCごとに測定する
・故障管理機能には、警報転送機能、コンティニュイティチェック機能、ループバック機能がある
●警報転送機能:物理レイヤ又はATMレイヤの転送機能に故障が発生した場合に、VPやVCが使用できないことを通知する機能
・物理レイヤ又はATMレイヤの故障を検出した装置から、VP又はVCに対して故障を表示するOAMセル(AISセル及びRDIセル)を送出することで故障通知が行われる
VP-RDI:受信側で一定時間以上ユーザ情報セル又はOAMセルの受信がない場合は故障と判断して、送信側に送出する信号
VP-AIS:VPコネクションの故障が検出された場合に、その故障をその接続点から受信側方向に通知するための信号
●コンティニュイティチェック機能:ユーザセルまたはコンティニュイティチェックセルを用いて、VPやVCが導通しているかを常時監視する機能
・受信側では判定できないVPやVCの導通を常時確認できる
・サービスを行っている状態でも導通試験が可能
●ループバック機能:VPやVC上の任意の指定区間における導通確認を、サービスを中断することなく行う機能
・主に部分区間の導通確認及び故障点の特定に用いられる
・商用サービスのセルを一時的に別のルートにう回させる必要はなく、ループバック用のOAM用セルを空いた位置に挿入して送出する(非同期なのでどこにつっこんでも問題ない)
OAM機能のコンティニュイティチェック機能とループバック機能の違いがいまいちわからず(´・ω・)〔OAMセル〕
どっちも導通確認を行うんだよな紛らわしい
コネクションが実際に設定されているか否かを発信側で自立的に検出するのはどっちだろう(´・ω・)?
ContinuityTest:E-EまたはSEG-SEG間において、ATMレイヤおよびそれ以上のレイヤで、ATMセルが正常に処理されソフトウェアも動作しているかどうかを周期的にチェックする機能
例えば、1分間なにも処理されなかったとかの場合、RDIをTx側に返して、機能障害を通知する。
これがないと、F1~F3レベルからの障害通知も無いのにいつの間にか通信が停止していたなんて事になると思う。
LoopBack Test:
障害箇所の切り分け試験や工事試験などで必要時に起動して使用するのが一般的と思われ。
・ATMレイヤのOAM機能は、VPレベル及びVCレベルにおいて、OAMセルを用いて実現される
・OAMセルのペイロードの先頭バイトは、どのOAM種別のOAM機能に用いられるセルなのかを識別する領域となっている
・ペイロードの残りの領域には、各OAM機能で個別に定義される情報及び誤り検出ビットなどが挿入される
・OAMセルは、対象VP又はVCのユーザセルとともに転送されるため、ユーザ情報と識別することが必要となる
OAMセル 与えられる値 ユーザセルとの識別
VP用 対象VPのVPI値 特定のVCI値
VC用 対象VCと同一のVPI/VCI値 特定のPTI値
〔ATMセルのヘッダ〕
・ATMセルのヘッダには、ATMセルをあて先まで送り届けるために必要なコネクション識別子であるVPIとVCIとがある
●VC(Virtual Channel:仮想チャネル):論理的な通信路
●VP(Virtual Path:仮想パス):複数のVCを束ねた論理的な通信路
・VPとVCはATMレイヤで定義される
・VP⊇VC(VPの方が偉い!)
・同一物理レイヤ内の、あるVPに収容されるVCと別のVPに収容されるVCは、同一のVCIを用いることができる
●UNI(User Network Interface):ATM網とATM端末とのインタフェース
GFC(4)+VPI(8)+VCI(16)+PT(3)+CLP(1)+HEC(8)~ペイロード
●NNI(Network to Network Interface):ATM網相互間のインタフェース
VPI(12)+VCI(16)+PT(3)+CLP(1)+HEC(8)~ペイロード
・ VPI VCI
UNI 8ビット 16ビット
NNI 12ビット 16ビット
●PT(Payroad Type):セルに含まれるペイロードのタイプを識別する3ビット記述子
・VCレベルのOAMセルの識別、リソース管理セルの識別、輻輳の有無の識別を行う
・AALタイプ5の場合、上位レイヤのパケット境界検出に用いられる
●GFC(Generic Flow Control:一般的フロー制御):端末とネットワーク間におけるフロー制御を行うために割り当てられている領域
・NNI→4ビットのGFC領域
UNI→GFC領域を有していない
●CLP(Cell Loss Priority:セル損失優先表示):セル廃棄の優先を表示するフィールド
・ユーザの申告値を超えたATMセルへのタギングでは、ATMヘッダ内のCLP値が0→1に置き換えられる
・網の輻輳時には、CLP=1のセルは優先して廃棄される
●HEC(Header Error Control:ヘッダ誤り制御):セルヘッダに発生するビット誤りを検出・訂正するための領域
・これより前のHEC自身を含まないヘッダ領域(4バイト)に対して、8ビットのCRCを用いる
●セル同期:連続するビット列からセルの先頭を見つけ出し、特定すること
・セル同期をとるために、CRCによるヘッダ部分の演算をしている時点で、偶然ヘッダ以外のユーザ情報の中でCRC剰余が0になることを避けるために、ユーザ情報に対して自己スクランブルを行っている
「自己スクランブルを行っている」というのはなんなのでせうか(´・ω・)?〔参考〕Catalyst 8540/8510 MSR およびLightStream 1010 ATMスイッチのハードウェア トラブルシューティング
⇒DS3のペイロードのATMセルをマッピングするときにATMセルのペイロードは空きセルも通常のセルもスクランブルをかけると言う意味かとおもう。
・前同期状態で、1回でもHEC誤りが検出されると、ハンチング状態に戻る
・同期状態において、連続して7回のヘッダ誤りを検出した場合、ハンチング状態にステータスを移行する
〔参考〕第Ⅵ編 伝送路インタフェース(LI)P132
〔ATMセルの種類〕
●空きセル:物理レイヤで速度整合のために生成・挿入され、他の用途には使用されないATMセル
●有効セル:空きセル以外で、ヘッダ誤りを含まないATMセル
●無効セル:空きセル以外で、ヘッダに誤りが検出され、かつ、それが訂正できなかったATMセル
〔参考〕第1編 用語の説明
〔ATMレイヤサービスカテゴリ〕
┌トラヒックパラメータ…PCR、MCR、SCR、MBS、CDVT
サービスカテゴリ―|
└QoSパラメータ…CDV、MCTD、CLR
●CBR(Constant Bit Rate:固定ビットレート):PCR(ピークセルレート)を定め、CTD(セル転送遅延)、CDV及びセル損失率を保証するサービス
・回線交換サービスの転送に適している
●CTD(Cell Transfer Delay:セル転送遅延):送信元UNIから受信側UNIに到着するまでの経過時間
CTD=ATMノード間の総伝送遅延+ATMノードの総処理遅延
●CDV(Cell Delay Variation:セル遅延変動許容量):バッファリングとセルスケジューリングによって派生するセル転送遅延を示す変動要素
●VBR(Variable Bit Rate:可変速度サービス):PCR(ピークセルレート)の他にSCR(平均セルレート)やMBS(最大バースト長)を定め、可変速度符号を用いた音声/映像転送や蓄積型データ通信を想定しているサービス
・リアルタイム通信用のrt-VBRと、蓄積通信用のnrt-VBRの二つのカテゴリがある
・セル損失率を保証している
●PCR(Peak Cell Rate:最大セル速度):単位時間あたりに転送できるセル数の最大値
●SCR(Sustainable Cell Rate:平均セルレート):持続可能なセル転送率
●MBS(Maximum Burst Size:最大バースト長):PCRで連続して送信できるバーストデータの最大値
●UBR(Unspecified Bit Rate):基本的に品質を保証しないが、ファイル転送や電子メールなどの非リアルタイムデータ転送アプリケーションに適したサービス
●ABR(Available Bit Rate:使用可能ビットレート):利用可能帯域の伝送速度
・RM(リソース管理)セルを用いて、MCRを保証した上、MCRとPCRの間に収まるように速度調整されることから、空きの帯域幅をできるだけ利用したいユーザに便利なサービスである
●MCR(Minimum Cell Rate:最低セル速度):常に送信できることが保証されている転送速度
〔参考〕第Ⅰ編 用語の説明
〔OSI参照モデルに準拠したATM網のプロトコル構成〕
┌レイヤ
ATM網のプロトコル―| ┌制御プレーン
└プレーン+ユーザプレーン
└管理プレーン
●管理プレーン(M-Plane):ATM網の保守やトラヒック状態の管理などの運用に関するプロトコル
・ATM網の監視情報や各種統計資料の収集などのために使用される
・ユーザ端末やネットワークでの故障情報、ネットワークの設備構成情報及び通信品質などの管理情報を必要に応じて相互にやりとりするインタフェースを提供する
●制御プレーン(C-Plane):ATM端末とATM網との間で呼やコネクションの設定、解放等に関する制御情報を扱うプロトコル
・ユーザ端末間でのユーザ情報転送のために必要なエンドツーエンドの仮想コネクションを設定するために用いられる
●ユーザプレーン(U-Plane):ATM端末がATM網を介してユーザ情報を送受するために使用するプロトコル
・上位層プロトコルデータやアプリケーションデータの送受を行うために用いられる
ユーザプレーン、制御プレーンについては、次のようなレイヤ構成になります。
・物理レイヤ(PL:Physical Layer)
・ATMレイヤ
・AAL
・ユーザ定義レイヤ
〔ATMのサービスクラスとAALタイプ〕
・AALは、上位レイヤの要求により、フロー制御、誤り制御、タイミング制御等を実行する
・AALが上位レイヤに対して提供するサービスクラスの分類
・発着間でのタイミング関係の要・不要
・取り扱うトラヒックのビットレートが固定か可変か
・通信に先立つコネクションの有無
・AAL(AALタイプ2以外)は、セルのペイロード単位の処理を行うSARと、フレーム単位の処理を行うCSの二つのサブレイヤから構成されている
●CS(Convergence Sublayer:コンバージェンス副層)
エラーチェックおよび他の制御を行うための8バイトのトレーラが付加され、PDUの全長が48バイトの倍数になるようにパディングが付加される
●SAR(Segmentation And Reassembly:分割組み立てサブレイヤ)
CSで処理されたプロトコルデータユニットを受け取り、48バイトのペイロード データに分割して、後続の処理のためにそれらをATM層に渡す
AALタイプ1
・音声や画像伝送などを固定速度で、かつ、コネクション型であるサービスクラスAを実現するプロトコル
・リアルタイム性の高い通信の場合、再送による誤り回復ができないため、AALタイプ1では、FECを付加した情報の転送方式を採り、誤り訂正をしている
・セル損失及び誤挿入の検出は、SAR-PDUのシーケンスナンバフィールドを用いて行われる
・コンバージェンスサブレイヤの機能として、ソースクロックの再生機能がある
・情報送信間隔が一定である
AALタイプ5
・ATMコネクション上での多重機能がない
・セルごとに誤り検出を行わず、CPCS-PDUごとにCRCチェックで誤り検出を行う
・主なサービスには、データ転送サービス及びシグナリング情報転送サービスがある
・AALタイプ5のSAR-PDUには、ヘッダ、トレイラは含まない
〔参考〕コンピュータネットワークの発展
クラスA CBR AALタイプ1 実時間性が要求される音声・画像転送に適用される
クラスB VBR AALタイプ2 可変速度の音声、映像等のサービスを提供する
クラスC コネクション型VBRのAAL3とコネクションレス型VBRのAAL4
クラスD コネクション/コネクションレス型VBRのAAL5
〔ATMスイッチ内のバッファメモリの配置方法〕
●クロスポイントバッファ型…動作速度に制限が生じにくく、メモリ個数がスイッチ規模の2乗に比例する
●入力バッファ型…セル競合制御部の動作周波数によりスループットが制限される
●共通バッファ型…大規模なバッファを共通的に持つことによりトラヒックを効率的に処理できるが、バッファメモリへのアクセスの増大がスループット上のネックになる
●出力バッファ型…スイッチ規模に比例して、バスの高速化が必要となる
by 9denki
| 2005-06-19 14:24
| データ通信