2006年 04月 23日
光ファイバ通信における分散
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〔分散の種類と特徴〕
・光ファイバ通信では、分散の影響により符号伝送速度や中継間隔が制限される
┌モード分散
光ファイバの分散┤ ┌材料分散
└波長分散┤
└構造分散
●モード分散:光ファイバ内に複数の伝搬モードが存在する場合、各モードの群速度の違いにより伝搬時間が異なるために生ずるもの
・SMファイバはMMファイバと比較してコア径が小さいため、その影響を考慮する必要はない
・モード分散による影響が最も大きく、マルチモード光ファイバはシングルモード光ファイバと比較して大きな帯域制限を受ける
●波長分散:光ファイバの屈折率の波長依存性により生ずるもの
・一般的な光源は完全な単一波長でなく、ある幅を持った波長特性を持っている。このような波長に幅のある光パルスが入射すると、光の伝搬速度や伝搬経路の長さが波長によって異なるために、到達時間に差が生じ、パルス幅が広がる現象が発生する
・波長分散特性は、光ファイバのコアの屈折率分布に依存する
→コアの屈折率分布が異なる光ファイバ同士を比較した場合、同一波長でも波長分散値は異なる
・波長分散=構造分散+材料分散
材料分散>構造分散
・光ファイバにおけるコアとクラッドの屈折率差が小さい場合、境界面での全反射現象は鏡面の全反射現象とは異なり、光の一部がクラッド部分へしみ出すようにして発生する
・しみ出しの割合は光ファイバの構造によって決まり、光の波長が短いほど小さく、長いほど大きい
●材料分散:光ファイバの材料に起因する分散
・光ファイバ通信で使用される光は、厳密には単一の波長ではなく、わずかではあるが波長の広がりを持っている。このため波長によって伝搬速度は異なり、波長が長くなるほど屈折率は小さくなり伝搬速度は大きくなる。これは、伝送帯域を制限する要因となり、材料の屈折率が波長に依存する特性を持つことに起因している
・光ファイバの素材が持つ波長の違いにより屈折率が異なる性質により、光の波形が広がる要因となる
●偏波モード分散:光ファイバのコア形状が製造上などの理由により、わずかに楕円化している場合に、二つの直交偏波モード成分間に伝搬時間差を生じ、パルス波形の広がりが発生する現象
:光ファイバの直交した二つの偏光軸に沿って光が伝搬する際の群遅延時間差によって光パルス幅が広がる現象
・高速伝送になるほど伝送距離制限の大きな要因となる
・温度やひずみなどの伝送路環境によって経時的に変動する
〔分散制御光ファイバの種類と特徴〕
通常のシングルモード光ファイバ
低分散領域:1.3μm帯
低損失領域:1.55μm帯
●1.55μm帯分散シフト光ファイバ:損失だけでなく、全分散値も最小になるように導波路部分を制御して、ゼロ分散波長を1.3μm帯から1.55μm帯にシフトさせた光ファイバ
・添加剤などでコアの屈折率分布を三角形や鋸状などに変える工夫を加えて、構造分散の値を変化させることにより、ゼロ分散値を制御している
●分散補償光ファイバ:既設の1.3μmゼロ分散光ファイバを使用して、1.55μm帯の通信光を伝送したい場合、1.3μm帯の通信光を伝送したときと比較して増加した波長分散を補償する目的で開発された光ファイバ
ΔTm=(1/cosθc-1)To≒ToΔ=(Ln1/c)Δ
To:光軸上を進む最も早い光の群遅延時間
Δ:コアとクラッドとの比屈折率差=1%
n1:屈折率
c:光速
L:光ファイバの長さ
例)コアの屈折率を1.5、光ファイバの長さを10km、光速を3×10^8m/sとした場合、
10(km)×1.5 10^4(m)×0.5
ΔTm=――――――×0.01=――――――×10^-2=0.5×10^-6(s)=0.5(μs)
3×10^8(m/s) 10^8(m/s)
・光ファイバ通信では、分散の影響により符号伝送速度や中継間隔が制限される
┌モード分散
光ファイバの分散┤ ┌材料分散
└波長分散┤
└構造分散
●モード分散:光ファイバ内に複数の伝搬モードが存在する場合、各モードの群速度の違いにより伝搬時間が異なるために生ずるもの
・SMファイバはMMファイバと比較してコア径が小さいため、その影響を考慮する必要はない
・モード分散による影響が最も大きく、マルチモード光ファイバはシングルモード光ファイバと比較して大きな帯域制限を受ける
●波長分散:光ファイバの屈折率の波長依存性により生ずるもの
・一般的な光源は完全な単一波長でなく、ある幅を持った波長特性を持っている。このような波長に幅のある光パルスが入射すると、光の伝搬速度や伝搬経路の長さが波長によって異なるために、到達時間に差が生じ、パルス幅が広がる現象が発生する
・波長分散特性は、光ファイバのコアの屈折率分布に依存する
→コアの屈折率分布が異なる光ファイバ同士を比較した場合、同一波長でも波長分散値は異なる
波長分散=光波長によって光ファイバ中の伝搬速度が異なる性質=遅延時間なので屈折率とは直接相関関係はないが、屈折率が違うものと比較すればファイバー内での反射回数が違ってくるからその分時間的に遅れる。・光ファイバ自体の屈折率のゆらぎに起因する材料分散と、光ファイバの導波路構造に起因する構造分散がある
・波長分散=構造分散+材料分散
材料分散>構造分散
波長分散は、単一モードファイバの導波モード伝搬定数の波長依存性に起因する構造分散(導波路分散とも言う)と屈折率の波長依存性に起因する材料分散との和で求められる。●構造分散:コアとクラッドの屈折率差が小さいことが原因で境界面において光の一部がクラッドにしみ出すことにより生ずる分散
・光ファイバにおけるコアとクラッドの屈折率差が小さい場合、境界面での全反射現象は鏡面の全反射現象とは異なり、光の一部がクラッド部分へしみ出すようにして発生する
・しみ出しの割合は光ファイバの構造によって決まり、光の波長が短いほど小さく、長いほど大きい
●材料分散:光ファイバの材料に起因する分散
・光ファイバ通信で使用される光は、厳密には単一の波長ではなく、わずかではあるが波長の広がりを持っている。このため波長によって伝搬速度は異なり、波長が長くなるほど屈折率は小さくなり伝搬速度は大きくなる。これは、伝送帯域を制限する要因となり、材料の屈折率が波長に依存する特性を持つことに起因している
・光ファイバの素材が持つ波長の違いにより屈折率が異なる性質により、光の波形が広がる要因となる
●偏波モード分散:光ファイバのコア形状が製造上などの理由により、わずかに楕円化している場合に、二つの直交偏波モード成分間に伝搬時間差を生じ、パルス波形の広がりが発生する現象
:光ファイバの直交した二つの偏光軸に沿って光が伝搬する際の群遅延時間差によって光パルス幅が広がる現象
・高速伝送になるほど伝送距離制限の大きな要因となる
・温度やひずみなどの伝送路環境によって経時的に変動する
〔分散制御光ファイバの種類と特徴〕
通常のシングルモード光ファイバ
低分散領域:1.3μm帯
低損失領域:1.55μm帯
●1.55μm帯分散シフト光ファイバ:損失だけでなく、全分散値も最小になるように導波路部分を制御して、ゼロ分散波長を1.3μm帯から1.55μm帯にシフトさせた光ファイバ
・添加剤などでコアの屈折率分布を三角形や鋸状などに変える工夫を加えて、構造分散の値を変化させることにより、ゼロ分散値を制御している
●分散補償光ファイバ:既設の1.3μmゼロ分散光ファイバを使用して、1.55μm帯の通信光を伝送したい場合、1.3μm帯の通信光を伝送したときと比較して増加した波長分散を補償する目的で開発された光ファイバ
1.55μm帯で波長分散を0にしたいなら1.55μm帯零分散シフトファイバを使うんだろうけど。〔ステップインデックス形マルチモード光ファイバの群遅延時間差〕
でも、分散補償光ファイバでググったら、問題文みたいなファイバがあるみたいだね。
ΔTm=(1/cosθc-1)To≒ToΔ=(Ln1/c)Δ
To:光軸上を進む最も早い光の群遅延時間
Δ:コアとクラッドとの比屈折率差=1%
n1:屈折率
c:光速
L:光ファイバの長さ
例)コアの屈折率を1.5、光ファイバの長さを10km、光速を3×10^8m/sとした場合、
10(km)×1.5 10^4(m)×0.5
ΔTm=――――――×0.01=――――――×10^-2=0.5×10^-6(s)=0.5(μs)
3×10^8(m/s) 10^8(m/s)
まず「光ファイバ技術200のポイント」のP28の図1を見れ。問題文の中のθを図1のθ1と考えれば、光軸に沿って(θ1=0)進む光がh進む間に、光軸に対して角度θ1で進む光はd=h/(cosθ1)進む。(三角関数)
スネルの法則からcosθ1=n2/n1(n2:クラッドの屈折率 n1:コアの屈折率)なので、d=h(n1/n2)になる。
ここで比屈折率差Δ=1-n2/n1は1%=0.01なので、n1/n2=1/0.99=1.01。よってd=1.01×hになる。
問題文からh=10[km]だからd=10.1[km]。つまり、hが10[km]の際の「hとdの伝搬経路差」はd-h=100[m]
そして、屈折率nの物質中を進む光の速度v=空気中の光の速度/nなので、この場合v=3×10^8/1.5=2×10^8[m/s]
よって、伝搬時間差t=伝搬経路差/光の速度=100/(2×10^8)=5×10^-7[s]=0.5[μs]になる。
by 9denki
| 2006-04-23 08:51
| 通信線路