2006年 04月 25日
光ファイバケーブルの構造
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・光ファイバケーブルの構造は、光ファイバ心線の保護・集合方法と抗張力体の配置方法によって分類される
┌心線をタイトに撚り抗張力体の周りに配置したストランド構造
保護・集合方法+チューブ形
└スロットロッド形:スロット内に光ファイバを収容するスロット構造
●スロットロッド形
・ほかと比較してケーブルの細径化に有利な構造
・幹線系や配線系ケーブルでは主としてこの構造が採用されている
●ストランド構造
・ケーブル構造が簡易
・メタリックケーブルと同様の製造が可能
●チューブ形
・ケーブルの中心部に光ファイバリボンを収容した構造で高密度性に優れる
・ほかと比較して外被強度が大きい
・抗張力体の材料…鋼線、FRP、ケブラー、高強度繊維(伸びを小さくするため、ヤング率が大きいものが必要)
(参考)ヤング率って・・・?
「ヤング率とは,簡単にいうと硬さの値(の一種)です。」
●ルースチューブ形ケーブル
・ルースチューブの外径>光ファイバの外径のため、ケーブルの外径が大きくなる傾向があるが、ルースチューブがある程度変形しても光ファイバにほとんど力が加わらないので、外圧による伝送損失への影響を受けにくい
・ルースチューブ内に収容される光ファイバに余長を持たせる構造となっている
・複数の二層構造心線を平行に並べ、UV被覆を施した高密度テープ心線とすることにより、心線の収容密度が高められている
・テープ心線の多心一括接続が可能
・幹線系光ファイバケーブルの水走り防止手段
ケーブル外被の損傷によってケーブル内に水が浸入した場合、ケーブル内の空隙部を水が伝わる(水走り)ことを防止する必要
従来…ケーブル内部に外部よりも高い圧力の乾燥空気を送り込む方法と、ケーブル内部に粘性の高いジェリーを充填する方法とが用いられていたが、前者はケーブルの高密度化や長スパン化、後者は光ファイバ心線の接続作業の効率化の妨げとなっていた
最近…光ファイバ心線を収容するスロットロッド周囲にWBテープ(防水テープ)を巻き付ける方法が採用されている
●WBテープ:浸入した水を吸収し、膨張してケーブル内の空隙部を埋め、水走りを防止するもの
・防水構造として高分子系吸水材を塗布した止水テープが用いられており、外被部から浸水するとその浸水箇所の吸水材が膨潤しながら止水テープから分離し、ゲル化してスロットロッドの溝の間隙を埋め、それがダムとなって水走りを防止している
●OPGW(OPtical Ground Wire:光架空地線):送電鉄塔の一番頂上に張ってある架空地線の中心に光ファイバを入れたもの
〔伸びとけん引〕
・光ファイバケーブルの許容伸びひずみ≦0.2%に設計
許容伸びの目安
┌タイト形 0.2%
光ファイバケーブルの構造┤
└ルース形 0.4%
(参考)1.(2)電線・ケーブルの機能特性
「最大張力印加時:光ファイバ歪み 0.2%以下であること。」
・光ファイバに許容される破断確率と、使用しているファイバのスクリーニング荷重から決定されるファイバに許容される伸び以下で布設されるようにテンションメンバの強度が決定される
使用場所 特徴
┌オプトプーラ マンホール区間 複数台が自動連動してケーブルをけん引する
・光ファイバケーブルけん引機┤
└ベビープーラ とう道区間 軽量のためとう道での運搬も容易
・光ファイバケーブルをけん引する場合、ケーブルグリップを使用すると外被が伸びて、光ファイバ心線に伸びひずみを生じさせ心線破断を起こすおそれが発生する
→プーリングアイを使用する
〔光ファイバの心線構造〕
●裸光ファイバ:線引きされただけのまだ一次被覆が施されていない状態の光ファイバ
・光ファイバは、プリフォームを高温(約2,000C)に加熱し柔らかくして線引きを行い、プリフォーム内に作られた屈折率分布形状を正しく保ったまま作られる
・そのままでは破断しやすいため、裸光ファイバ製造と同時に一次被覆が施される
●光ファイバ素線:一次被覆を施した後、スクリーニング試験を行った状態のファイバ
脆性:ガラスの表面に傷があるとき、傷の許容応力を超えると一気に破断する性質
→傷の発生を防ぎガラスの脆性破壊の性質をカバーするため、製造と同時に裸光ファイバの表面にUV樹脂などにより一次被覆を施す
●光ファイバ心線:一次被覆を施した光ファイバに、更にUV樹脂などの二次被覆を施したもの
・光ファイバ心線をそのままの状態で扱う場合は単心線、テープ状に被覆したものはテープ心線といわれる
●光ファイバコード:単心又は複数心の光ファイバ心線に抗張力体を配置してシースを施したもの
・抗張力体は心線の周囲に配置され、引張り強度の大きいポリアミド系繊維が多く用いられている
・主に室内に使用され、一般に片端または両端にあらかじめ光コネクタが取り付けられている
〔光ファイバの心線構造の特徴〕
・光ファイバ心線は、温度特性や機械特性を考慮して基本的に多層被覆が施されている
内層→柔らかい被覆
外層→硬い被覆(しごきや側圧などの外圧から光ファイバを保護する)
・被覆材が二層構造の光ファイバ心線は、三層構造のものと比較して機械的強度が小さいため、タイト形ケーブルのように心線を直接集合すると側圧などの外力によって光損失が増加しやすい
・光ファイバの被覆材は、一般にプラスチック樹脂が使用されている
プラスチックの熱膨張係数=10^-7[1/ C]程度
光ファイバの熱膨張係数=10^-4[1/ C]程度
→温度低下により光ファイバと被覆材との伸縮量が大きく異なり、マイクロベンドによる伝送損失が増加する
(参考)1 1.(6) 用語の意味・定義
「熱膨張係数:一定圧力下において、熱による物体の長さまたは体積膨張の割合」
・石英系光ファイバのコアとクラッドの間に所定の屈折率差を持たせるため、
コアの屈折率を大きくする→コアにゲルマニウムを添加
クラッドの屈折率を小さくする→クラッドにフッ素を添加
●MCVD法:回転している石英管内に原料ガスなどを流し反応させ、石英管の内側にガラスを堆積させる
●VAD法:回転している石英棒の下方から酸・水素炎とともに原料ガスを吹き付けて作成した多孔質母材を脱水処理の工程後、加熱して透明ガラス化する
・大型プリフォームの製造に適す
・最初に多孔質プリフォームを作製し、これを透明ガラス化する工程で酸素系ガス(塩化チオニールSOCl2)で加熱処理することにより、吸収損失の要因となる遷移金属水酸イオンを十分に除去することが可能
「気相軸付け法(Vapor phase Axial Deposition;VAD):水素と酸素の混合気体の火炎中で、高純度のSiCl4や屈折率に変化を持たせるGeCl4などを燃焼させることにより、不純物の少ないガラスを精製し、種となる棒の上に積もらせ、棒を移動させることにより長くしていく方法
・プリフォームを加熱溶融して線引きする工程では、線引きされた光ファイバに紫外線を照射して、塗布されている樹脂を即座に固化させ、光ファイバ表面を被覆する方法が採られている。」
線引き:プリフォームを加熱し、溶かしながら引っ張って光ファイバの太さにする工程
(参考)1 1.(6) 用語の意味・定義
「プリフォーム:VAD、MCVD法等で作製された、コアおよびクラッドからなるガラスロッドの総称
線引き:種々の方法で作製したプリフォームロッドを軟化点以上に加熱して引き落とし、所定径のファイバをつくる工程」
〔光ファイバケーブルの外被〕
●CS(コルゲート(波付き金属)シース)ケーブル:LAPシースやPEシースを施した光ファイバケーブルにさらに波付けシースを施したケーブル
・山間部における鳥虫害などの被害からケーブルを守るのに適した構造
・重量が波付きシースの分だけ増加するため、布設張力が大きくなり、引張り強度が一般ケーブルより5倍以上強い
「LAPシースの上にさらに波付き鋼管と防食シースを施した構造で、耐側圧特性に優れています。直埋される場合や防鼠・防鳥・耐散弾銃対策などを要求される場合に適しています。」
●難燃ケーブル
・とう道区間に布設する新設光ファイバケーブルは、火災による延焼を最小限に留められるように、一般に難燃ケーブルを適用している
・PVCシースケーブルは、いったん燃焼した場合に有害ガスが発生する危険がある
・ユーザビルのシャフト内の縦系配線などにおいても、法令等で必要な場合などは難燃ケーブルを適用する
NTT西日本|もしも!?の時あなたの電話は?
「さらに、どう道内は、難燃ケーブルの使用や防火壁の設置などにより、出火、延焼が起こりにくくしてあります。」
●ノンハロゲンケーブル:ハロゲンを用いない難燃剤を用いて、難燃性のほかに低発煙性、無毒性、無腐食性を兼ね備えた低災害ケーブル
・従来難燃ケーブルに用いられていたハロゲン系添加物によって難燃化したケーブルは、燃焼時に有毒性ガスや腐食性の強いハロゲン化水素ガスを多量に発生し、煙の発生量も多いという欠点があった
(参考)2. 難燃ケーブルとノンハロゲンケーブル
「最近は,火災時の安全対策という観点から,難燃性のみならず,ケーブル燃焼時の低有害ガス性,低発煙性が重要視されるようになってきました。
当社は,従来の難燃性ケーブル(PVCシース)はもとより,ハロゲン系の物質を用いずに難燃化したノンハロゲン難燃性ケーブルを開発し,船舶・車輌・地下鉄変電設備・洞道・ビル等に多くの納入実績を持つに至っています。」
(参考)光ファイバケーブルの選択にあたって
〔光ファイバケーブルの外装〕
・光ファイバケーブルの外装の種類…PEシース、LAPシース、PVCシース
・屋外…PEシースケーブル、LAPシースケーブル
・屋内…難燃性であるPVCシースケーブル
〔光クロージャ〕
光クロージャ:光ファイバケーブルの心線接続部を自然環境において長期的に保護するクロージャ
┌地下用光クロージャ
光クロージャ┤
└架空用光クロージャ
●地下用光クロージャ:地下のハンドホールに布設されるお客様宅に引き込む光ファイバと地下光ファイバケーブルとの接続部を保護するためのもの
・幹線系で主に用いられる
・分岐数及び収容する光ファイバ心線数によって種類と適用範囲が決定され、1000心程度の光ファイバケーブルが収納できるものもある
・地下のマンホール及びとう道などにおいて光ファイバケーブルの接続箇所に使用するため、限られたスペース内での高密度な「心線収納性」や「防水性」が求められる。このため、ケーブル挿入部やシール機構、スリーブ部、バックル等が最適化された構造となっている
「心線収納性」
・光ファイバ心線接続部と心線余長を最小限必要な曲率半径を保った状態で高密度に収納できる構造
・心線回線増設や切替えなどの作業時において、心線の識別が容易にできるハンドリング性に優れた収納構造
・クロージャ内を圧縮空気にて加圧し水などの浸入を防止する構造
・ゴム性のシール材を用いたシール機構により確保されており、ケーブル挿入部は、シール材をケーブル外被の上から外径に合わせて数回巻き付け、エントリプレートで挟み込み、固定する
・スリーブ相互間については、バックル等を用いて締め付けることで密着させて防水性を確保している
・架空用光クロージャの施工性向上が図られた構造
a 2枚の鬼目板を用いた締付け方式による簡易ケーブル把持技術
b トレイ収納方式により心線余長部をフリーとし、接続部のみを収納する高密度収納技術
c 弾力性のあるシーリング材でケーブルを把持してクロージャ内への水の浸入を防ぐ簡易防水技術
●一定応力法:光ファイバの長手方向に一定の応力を加えることによって、長手方向の伸びひずみを得る方法
・荷重を制御するために、裸光ファイバ、一次被覆及び二次被覆の分担荷重が算出可能であることが必要
・荷重を変えることによって、容易にスクリーニング試験の伸びひずみ量を制御できる
・最低破断張力を保証している
●一定伸びひずみ法:光ファイバの長手方向に一定の伸びを与えることによって、長手方向の伸びひずみを得る方法
・伸びを制御するために、裸光ファイバ、一次被覆及び二次被覆の分担荷重が算出可能であることが必要
・この測定方法は、送り出し張力+巻き取り張力により、スクリーニング試験の伸びひずみ量を制御している
●一定曲げひずみ法:光ファイバの長手方向に一定の曲率の曲げを与えることによって、長手方向の伸びひずみを得る方法
・光ファイバの全表面でほぼ一定の曲げひずみを得るために、試験装置は、複数のローラーを組み合わせて配置されている
〔自己支持形光ファイバケーブルを添架する場合の近似式〕 WS^2
張力T=――
8D
WS^2
たるみD=――
8T
W:風圧や着水を加味した光ファイバケーブルの単位長当たり実効重量[N/m]
S:径間[m]
D:ち度(たるみ)[m]
TA=TB≒T+WD
ケーブルの支持点Aにおける張力:TA
ケーブルの支持点Bにおける張力:TB
通常、T>>WDなので、TA=TB=Tとなる
ケーブルの実長L=S+8D^2/3S
〔光ファイバの材料による特徴〕
┌石英ガラスを主体とした石英系光ファイバ
誘電体(媒質)の材料による分類+ソーダ石灰やガラスやホウ硅ガラス等を主成分とした多成分系光ファイバ
└シリコン樹脂やアクリル樹脂等から成るプラスチック系光ファイバ
●石英系光ファイバ
・主成分である純粋な石英のほかに、屈折率を変化させるための添加剤としてゲルマニウムやホウ素、フッ素などが用いられている
・伝送特性の長期安定度の面でも優れているので、通信ネットワークに使用されている
●多成分系光ファイバ
・屈折率を変化させる添加剤としては、ナトリウムなどのアルカリ金属を使用しているものがあり、遷移金属などの不純物が混入しにくい
・石英系光ファイバに比較して低損失化が困難
・石英系光ファイバに比較して融点が低く加工しやすく、量産性に優れる
・石英系光ファイバと比較して伝送特性面では劣る
・接続が容易
・曲げに対しての耐力が強い
・取扱いが容易
┌心線をタイトに撚り抗張力体の周りに配置したストランド構造
保護・集合方法+チューブ形
└スロットロッド形:スロット内に光ファイバを収容するスロット構造
●スロットロッド形
・ほかと比較してケーブルの細径化に有利な構造
・幹線系や配線系ケーブルでは主としてこの構造が採用されている
●ストランド構造
・ケーブル構造が簡易
・メタリックケーブルと同様の製造が可能
●チューブ形
・ケーブルの中心部に光ファイバリボンを収容した構造で高密度性に優れる
・ほかと比較して外被強度が大きい
・抗張力体の材料…鋼線、FRP、ケブラー、高強度繊維(伸びを小さくするため、ヤング率が大きいものが必要)
(参考)ヤング率って・・・?
「ヤング率とは,簡単にいうと硬さの値(の一種)です。」
●ルースチューブ形ケーブル
・ルースチューブの外径>光ファイバの外径のため、ケーブルの外径が大きくなる傾向があるが、ルースチューブがある程度変形しても光ファイバにほとんど力が加わらないので、外圧による伝送損失への影響を受けにくい
・
タイト形とルース形はコアの衝撃緩和構造の違いである。●テープスロット形ケーブル
ルース形はコアがプラスティック製のゲルで満たされたスリーブ内で浮いた状態で保たれているが、ファイバに余長を持たせているわけではない。
・複数の二層構造心線を平行に並べ、UV被覆を施した高密度テープ心線とすることにより、心線の収容密度が高められている
・テープ心線の多心一括接続が可能
・幹線系光ファイバケーブルの水走り防止手段
ケーブル外被の損傷によってケーブル内に水が浸入した場合、ケーブル内の空隙部を水が伝わる(水走り)ことを防止する必要
従来…ケーブル内部に外部よりも高い圧力の乾燥空気を送り込む方法と、ケーブル内部に粘性の高いジェリーを充填する方法とが用いられていたが、前者はケーブルの高密度化や長スパン化、後者は光ファイバ心線の接続作業の効率化の妨げとなっていた
最近…光ファイバ心線を収容するスロットロッド周囲にWBテープ(防水テープ)を巻き付ける方法が採用されている
●WBテープ:浸入した水を吸収し、膨張してケーブル内の空隙部を埋め、水走りを防止するもの
・防水構造として高分子系吸水材を塗布した止水テープが用いられており、外被部から浸水するとその浸水箇所の吸水材が膨潤しながら止水テープから分離し、ゲル化してスロットロッドの溝の間隙を埋め、それがダムとなって水走りを防止している
●OPGW(OPtical Ground Wire:光架空地線):送電鉄塔の一番頂上に張ってある架空地線の中心に光ファイバを入れたもの
〔伸びとけん引〕
・光ファイバケーブルの許容伸びひずみ≦0.2%に設計
許容伸びの目安
┌タイト形 0.2%
光ファイバケーブルの構造┤
└ルース形 0.4%
(参考)1.(2)電線・ケーブルの機能特性
「最大張力印加時:光ファイバ歪み 0.2%以下であること。」
・光ファイバに許容される破断確率と、使用しているファイバのスクリーニング荷重から決定されるファイバに許容される伸び以下で布設されるようにテンションメンバの強度が決定される
使用場所 特徴
┌オプトプーラ マンホール区間 複数台が自動連動してケーブルをけん引する
・光ファイバケーブルけん引機┤
└ベビープーラ とう道区間 軽量のためとう道での運搬も容易
・光ファイバケーブルをけん引する場合、ケーブルグリップを使用すると外被が伸びて、光ファイバ心線に伸びひずみを生じさせ心線破断を起こすおそれが発生する
→プーリングアイを使用する
〔光ファイバの心線構造〕
●裸光ファイバ:線引きされただけのまだ一次被覆が施されていない状態の光ファイバ
・光ファイバは、プリフォームを高温(約2,000C)に加熱し柔らかくして線引きを行い、プリフォーム内に作られた屈折率分布形状を正しく保ったまま作られる
・そのままでは破断しやすいため、裸光ファイバ製造と同時に一次被覆が施される
●光ファイバ素線:一次被覆を施した後、スクリーニング試験を行った状態のファイバ
脆性:ガラスの表面に傷があるとき、傷の許容応力を超えると一気に破断する性質
→傷の発生を防ぎガラスの脆性破壊の性質をカバーするため、製造と同時に裸光ファイバの表面にUV樹脂などにより一次被覆を施す
●光ファイバ心線:一次被覆を施した光ファイバに、更にUV樹脂などの二次被覆を施したもの
・光ファイバ心線をそのままの状態で扱う場合は単心線、テープ状に被覆したものはテープ心線といわれる
●光ファイバコード:単心又は複数心の光ファイバ心線に抗張力体を配置してシースを施したもの
・抗張力体は心線の周囲に配置され、引張り強度の大きいポリアミド系繊維が多く用いられている
・主に室内に使用され、一般に片端または両端にあらかじめ光コネクタが取り付けられている
〔光ファイバの心線構造の特徴〕
・光ファイバ心線は、温度特性や機械特性を考慮して基本的に多層被覆が施されている
内層→柔らかい被覆
外層→硬い被覆(しごきや側圧などの外圧から光ファイバを保護する)
・被覆材が二層構造の光ファイバ心線は、三層構造のものと比較して機械的強度が小さいため、タイト形ケーブルのように心線を直接集合すると側圧などの外力によって光損失が増加しやすい
・光ファイバの被覆材は、一般にプラスチック樹脂が使用されている
プラスチックの熱膨張係数=10^-7[1/ C]程度
光ファイバの熱膨張係数=10^-4[1/ C]程度
→温度低下により光ファイバと被覆材との伸縮量が大きく異なり、マイクロベンドによる伝送損失が増加する
(参考)1 1.(6) 用語の意味・定義
「熱膨張係数:一定圧力下において、熱による物体の長さまたは体積膨張の割合」
被覆材料とガラスとの膨張係数の違いが問題になるのは低温時。低温になると被覆材料が収縮して光ファイバに対して圧縮方向の力が発生する。これがマイクロベンドを引き起こす要因になることがある。〔光ファイバの製造〕
・石英系光ファイバのコアとクラッドの間に所定の屈折率差を持たせるため、
コアの屈折率を大きくする→コアにゲルマニウムを添加
クラッドの屈折率を小さくする→クラッドにフッ素を添加
●MCVD法:回転している石英管内に原料ガスなどを流し反応させ、石英管の内側にガラスを堆積させる
●VAD法:回転している石英棒の下方から酸・水素炎とともに原料ガスを吹き付けて作成した多孔質母材を脱水処理の工程後、加熱して透明ガラス化する
・大型プリフォームの製造に適す
・最初に多孔質プリフォームを作製し、これを透明ガラス化する工程で酸素系ガス(塩化チオニールSOCl2)で加熱処理することにより、吸収損失の要因となる
光ファイバは気相合成により作製されており、中でもVAD法(Vapor phase Axial Deposition)はファイバー製造法として最も優れた方法である。(参考)光ファイバー - Wikipedia
気相合成法
この方法は液体原料のSiCl4などを気化させ、酸水素炎で酸化させてシリカガラスなどを作成する方法である。
SiCl4+O2+2H2 → SiO2+4HCl
「気相軸付け法(Vapor phase Axial Deposition;VAD):水素と酸素の混合気体の火炎中で、高純度のSiCl4や屈折率に変化を持たせるGeCl4などを燃焼させることにより、不純物の少ないガラスを精製し、種となる棒の上に積もらせ、棒を移動させることにより長くしていく方法
・プリフォームを加熱溶融して線引きする工程では、線引きされた光ファイバに紫外線を照射して、塗布されている樹脂を即座に固化させ、光ファイバ表面を被覆する方法が採られている。」
線引き:プリフォームを加熱し、溶かしながら引っ張って光ファイバの太さにする工程
(参考)1 1.(6) 用語の意味・定義
「プリフォーム:VAD、MCVD法等で作製された、コアおよびクラッドからなるガラスロッドの総称
線引き:種々の方法で作製したプリフォームロッドを軟化点以上に加熱して引き落とし、所定径のファイバをつくる工程」
〔光ファイバケーブルの外被〕
●CS(コルゲート(波付き金属)シース)ケーブル:LAPシースやPEシースを施した光ファイバケーブルにさらに波付けシースを施したケーブル
・山間部における鳥虫害などの被害からケーブルを守るのに適した構造
・重量が波付きシースの分だけ増加するため、
ケーブルにはテンションをかけない。コルゲートで重くなった分不利。・側圧特性は優れ、光ファイバの伸びひずみは抑えられない
波付き金属シースケーブルは、そもそも側圧特性等の機械的強度を向上させる目的で開発されたケーブル。このため直埋ケーブルにもこの構造は採用されている。(参考)光ファイバケーブルの選択にあたって
設問文に違和感を感じるのだが、「側圧特性は劣化するが」の部分がまず誤りか。
「光ファイバの伸びひずみは抑えられる」についても波付き金属シースケーブルは高耐張力ケーブルには分類されないため誤りとしたい設問なのかも知れない。
「LAPシースの上にさらに波付き鋼管と防食シースを施した構造で、耐側圧特性に優れています。直埋される場合や防鼠・防鳥・耐散弾銃対策などを要求される場合に適しています。」
●難燃ケーブル
・とう道区間に布設する新設光ファイバケーブルは、火災による延焼を最小限に留められるように、一般に難燃ケーブルを適用している
・PVCシースケーブルは、いったん燃焼した場合に有害ガスが発生する危険がある
・ユーザビルのシャフト内の縦系配線などにおいても、法令等で必要な場合などは難燃ケーブルを適用する
NTT西日本|もしも!?の時あなたの電話は?
「さらに、どう道内は、難燃ケーブルの使用や防火壁の設置などにより、出火、延焼が起こりにくくしてあります。」
●ノンハロゲンケーブル:ハロゲンを用いない難燃剤を用いて、難燃性のほかに低発煙性、無毒性、無腐食性を兼ね備えた低災害ケーブル
・従来難燃ケーブルに用いられていたハロゲン系添加物によって難燃化したケーブルは、燃焼時に有毒性ガスや腐食性の強いハロゲン化水素ガスを多量に発生し、煙の発生量も多いという欠点があった
(参考)2. 難燃ケーブルとノンハロゲンケーブル
「最近は,火災時の安全対策という観点から,難燃性のみならず,ケーブル燃焼時の低有害ガス性,低発煙性が重要視されるようになってきました。
当社は,従来の難燃性ケーブル(PVCシース)はもとより,ハロゲン系の物質を用いずに難燃化したノンハロゲン難燃性ケーブルを開発し,船舶・車輌・地下鉄変電設備・洞道・ビル等に多くの納入実績を持つに至っています。」
(参考)光ファイバケーブルの選択にあたって
・光ファイバケーブルの外装の種類…PEシース、LAPシース、PVCシース
・屋外…PEシースケーブル、LAPシースケーブル
・屋内…難燃性であるPVCシースケーブル
〔光クロージャ〕
光クロージャ:光ファイバケーブルの心線接続部を自然環境において長期的に保護するクロージャ
┌地下用光クロージャ
光クロージャ┤
└架空用光クロージャ
●地下用光クロージャ:地下のハンドホールに布設されるお客様宅に引き込む光ファイバと地下光ファイバケーブルとの接続部を保護するためのもの
・幹線系で主に用いられる
・分岐数及び収容する光ファイバ心線数によって種類と適用範囲が決定され、1000心程度の光ファイバケーブルが収納できるものもある
・地下のマンホール及びとう道などにおいて光ファイバケーブルの接続箇所に使用するため、限られたスペース内での高密度な「心線収納性」や「防水性」が求められる。このため、ケーブル挿入部やシール機構、スリーブ部、バックル等が最適化された構造となっている
「心線収納性」
・光ファイバ心線接続部と心線余長を最小限必要な曲率半径を保った状態で高密度に収納できる構造
・
クロージャの機能には当該クロージャ下部に回線を伸ばす役割があります。「防水性」
例えば当該クロージャまで100芯で来ているケーブルを50芯づつ2経路に分岐しているような場合(ただしそれぞれの経路に伸びているケーブルは100芯とする)、片方の経路に10芯の回線増設を行おうとすれば、クロージャ内で芯線の接続替えを行います。これは収容替えによる回線増設であって芯線の増設ではありません。
「ケーブル内の心線をクロージャ内で増設する」ことは不可能と考えるほかない。
・クロージャ内を
・ゴム性のシール材を用いたシール機構により確保されており、ケーブル挿入部は、シール材をケーブル外被の上から外径に合わせて数回巻き付け、エントリプレートで挟み込み、固定する
・スリーブ相互間については、バックル等を用いて締め付けることで密着させて防水性を確保している
圧縮空気を入れるんではなく、ケーブル挿入部で、ゴム性のシール材をケーブル外被の上から数回巻き、エントリプレートで挟み、固定して防水しているらしい。●架空用光クロージャ:電柱に架設される光ファイバケーブル相互の接続部や、お客様宅に引き込むドロップ光ファイバと架空光ファイバケーブルとの接続部を保護するためのもの
・架空用光クロージャの施工性向上が図られた構造
a 2枚の鬼目板を用いた締付け方式による簡易ケーブル把持技術
b トレイ収納方式により心線余長部をフリーとし、接続部のみを収納する高密度収納技術
c 弾力性のあるシーリング材でケーブルを把持してクロージャ内への水の浸入を防ぐ簡易防水技術
シーリングテープ→WBテープじゃなくて(´・ω・)?〔光ファイバケーブルのスクリーニング試験〕
基本的にシーリングテープは地下クロージャに使い WBはケーブルに内蔵されているものだ。
●一定応力法:光ファイバの長手方向に一定の応力を加えることによって、長手方向の伸びひずみを得る方法
・荷重を制御するために、裸光ファイバ、一次被覆及び二次被覆の分担荷重が算出可能であることが必要
・荷重を変えることによって、容易にスクリーニング試験の伸びひずみ量を制御できる
・最低破断張力を保証している
●一定伸びひずみ法:光ファイバの長手方向に一定の伸びを与えることによって、長手方向の伸びひずみを得る方法
・伸びを制御するために、裸光ファイバ、一次被覆及び二次被覆の分担荷重が算出可能であることが必要
・この測定方法は、送り出し張力+巻き取り張力により、スクリーニング試験の伸びひずみ量を制御している
●一定曲げひずみ法:光ファイバの長手方向に一定の曲率の曲げを与えることによって、長手方向の伸びひずみを得る方法
・光ファイバの全表面でほぼ一定の曲げひずみを得るために、試験装置は、複数のローラーを組み合わせて配置されている
〔自己支持形光ファイバケーブルを添架する場合の近似式〕
張力T=――
8D
WS^2
たるみD=――
8T
W:風圧や着水を加味した光ファイバケーブルの単位長当たり実効重量[N/m]
S:径間[m]
D:ち度(たるみ)[m]
TA=TB≒T+WD
ケーブルの支持点Aにおける張力:TA
ケーブルの支持点Bにおける張力:TB
通常、T>>WDなので、TA=TB=Tとなる
ケーブルの実長L=S+8D^2/3S
〔光ファイバの材料による特徴〕
┌石英ガラスを主体とした石英系光ファイバ
誘電体(媒質)の材料による分類+ソーダ石灰やガラスやホウ硅ガラス等を主成分とした多成分系光ファイバ
└シリコン樹脂やアクリル樹脂等から成るプラスチック系光ファイバ
●石英系光ファイバ
・主成分である純粋な石英のほかに、屈折率を変化させるための添加剤としてゲルマニウムやホウ素、フッ素などが用いられている
・伝送特性の長期安定度の面でも優れているので、通信ネットワークに使用されている
●多成分系光ファイバ
・屈折率を変化させる添加剤としては、ナトリウムなどのアルカリ金属を使用しているものがあり、遷移金属などの不純物が混入しにくい
・石英系光ファイバに比較して低損失化が困難
・石英系光ファイバに比較して融点が低く加工しやすく、量産性に優れる
高損失(3-20dB/km)、融点が低い(ホウケイ酸ガラス)、加工性が良いのが多成分系の特徴のようだ。●プラスチック系光ファイバ
・石英系光ファイバと比較して伝送特性面では劣る
・接続が容易
・曲げに対しての耐力が強い
・取扱いが容易
by 9denki
| 2006-04-25 05:17
| 通信線路