2006年 04月 30日
光ファイバの基礎
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〔伝搬モードによる分類〕
●SM(シングルモード)型光ファイバ
・伝送損失特性及び伝送帯域特性が優れていること及びその他諸条件などを考慮して、現在一般に使用されている
・モード分散がなく、光損失などにより適用可能距離が決定される
・使用波長が1.3μmで伝送速度が100Mbps以下の場合、最大伝送距離は、ほとんど光ファイバの損失制限で決まり、光ファイバの帯域制限は無視できる
・構造は「モードフィールド径」「外径(クラッド径)」「偏心量」「遮断波長」により決定される
●MM(マルチモード)型光ファイバ
・多くのモードを伝送し、その伝送ルートの差による伝送ひずみにより大容量伝送には不向き
・製造、接続性が比較的容易
・モード分散が分散値に大きく影響し、伝送距離が長くなるほど使用できる帯域が狭くなる
→モード分散の影響により、ベースバンド周波数特性が制限される
・構造は「コア径」「クラッド外径」「開口数」「屈折率分布」により決定される
〔屈折率分布形状による分類〕
┌ステップインデックス形
マルチモード光ファイバ(コアの屈折率の分布)┤
└グレーデットインデックス形
●ステップインデックス形マルチモード光ファイバ
・屈折率が階段状に変化
・コア径がシングルモード光ファイバより大きい
●グレーデットインデックス形マルチモード光ファイバ:コアの中心からファイバの半径方向に屈折率が連続的に変化するもの
・屈折率分布形状(プロファイル)を適切に選ぶことにより、多くの伝搬モードがある距離を伝搬するとき、各伝搬モードの伝搬時間がほぼ等しくなるように設計されたもの
・各伝搬モードの速度
屈折率の大きなコア中心部→遅い
クラッドに近い部分→速い
コアの中心付近での光の伝搬速度は、クラッド付近の伝搬速度よりも遅くなっている
●シングルモード光ファイバ:SI形MMファイバのコア径を小さくし、比屈折率差を非常に小さくすることで、基本モードのみが通過するように設計された光ファイバ
・光ファイバがシングルモード形になるための条件:規格化周波数V=2πa√n1^2-n2^2/λ<2.405
n1:コアの屈折率 n2:クラッドの屈折率 a:コアの半径 λ:伝搬する光の波長
〔光ファイバのパラメータ〕
┌コア径、外径(クラッド径)…光損失、伝送帯域、機械的強度などに影響を及ぼす
┌構造パラメータ┤
光ファイバのパラメータ┤ └偏心率と非円率…接続損失に大きな影響を及ぼす
└光学的パラメータ…比屈折率差、受口角と開口数、屈折率分布係数
スネルの法則より、空気とコアの関係から、n0sinθmax=n1sinθc
空気の屈折率n0=1
θmax:光が光ファイバ内を全反射して伝搬する最大入射角
コアとクラッドの比屈折率差Δ=(n1-n2)/n1
sinθmax≒n1√2Δ=n1√2(n1-n2)/n1(開口数NA):光源と光ファイバの結合効率を示す基本的なパラメータ
・光源と光ファイバの結合効率に影響を与える
・光ファイバの接続損失に関してもコア径より大きな影響を与える基本的なパラメータ
・大きいほど光を効率良く光ファイバ内に入射できる
スネルの法則より、n1cosθ1=n2cosθ2
θ1=θcとなったとき、θ2=0となる。
cosθ1=(n2/n1)cosθ2
cosθc=(n2/n1)cos0=n2/n1
より、このときの入射角θc=cos-1(n2/n1)
入射角<θc→光線は透過せずにコア側に全反射し、光ファイバ中を伝搬できる
●受口角:光ファイバへの光の入射条件を示すもの
●モードフィールド直径:光ファイバの径方向の光強度分布がガウス形で近似できるとき、光強度が最大値に対して1/e^2になるところの直径
・SMファイバはコア径が小さく、比率屈折率が小さいため、光学的手法ではコアとクラッドの識別が困難なため、モードフィールド直径が用いられている ●非円率:コア外周、クラッド外周の真円からのずれ
●偏心率(量):コア外周円の中心とクラッド外周円の中心とのずれ=X/d
〔光ファイバの伝搬モード〕
●伝搬モード:光ファイバ中で存在できる電界分布は特定のものだけであり、長距離にわたって光ファイバ中に存在できるもの
・反射角度の小さい順に0次モード、1次モード、2次モード、…といわれる
・伝搬モード数Nは、2asinθc≧Nλ/2を満たす最大の整数であり、有限である
λ:光の波長 a:コアの半径 θc:臨界角
・光ファイバ中に存在できる伝搬モード数は、「コア径」「屈折率」「光の波長」などによって決まる
(参考)光ファイバの基礎
「コアに入射されたどんな光でも遠くまで伝搬できる訳ではありません。
コア内に閉じこめられた光は、クラッドとの境界面で全反射を繰り返し伝搬していきますが、この時反射光同志の干渉によってお互いに強め合う(位相が一致する)場合には遠くまで光が伝搬しますが、それ以外の(位相がズレる)場合には遠くまで伝搬せずに途中で消滅してしまいます。この位相が一致するか否かは、入射する光の角度によって決まります。
この様に、ある特定の角度で反射しながら消減せずに伝搬していく光の組を伝搬モードと呼び、入射角度の小さいものから、0次モード, 1次モード, 2次モード・・・・といいます。
0次モードしか伝搬しない光ファイバがシングルモードファイバで、複数のモードがあるものをマルチモードファイバといいます。
したがって、コアに対して水平~臨界角までの間でモード数が決定されます。
ちなみに、マルチモード(ステップインデックス型光ファイバ)では、臨界角ではなくコア材とクラッド材の屈折率差という言葉を使います。」
・GI形光ファイバのコアの屈折率分布は放物線状
低次モードの光→屈折率の大きい中心部
高次モードの光→屈折率の小さい周辺部
により、各モードの到達時間をほぼ等しくしている
・光ファイバは、伝搬モードが同じ種類の光ファイバ同士でないと、信号伝達が正常に実行できない
(MM光ファイバとSM光ファイバを機械的に接続した場合)
100%伝達可能
SM―――――→MM
SM←―――――MM
数%のみ伝達
・マルチモード光ファイバは各波長ごとに複数の伝搬モードが存在できるが、波長が短くなるほど、より多くの伝搬モードが存在できる
・SM光ファイバを伝搬する基本モードはLP01もしくはHE11で示される
・光ファイバのコア軸の中心で最も電界が強くなる電界分布を示す
●高次モード:電界が最も強くなる箇所がコア軸の中心から外側にずれて、コア軸の中心部では電界がゼロとなるモード
・高次の伝搬モードでは、遮断波長の近傍で光ファイバの曲がりにより生ずる放射損失が急激に大きくなる
→ファイバを曲げることによってその損失波長特性を測定し、損失が急激に大きくなる波長を知ることによって遮断波長を測定できる
〔遮断(カットオフ)波長〕
●カットオフ波長:シングルモード伝搬となる最小波長
・シングルモード光ファイバにおいて、基本モードLP01より高次モードLP11が存在できなくなる波長
・シングルモード光ファイバの特性を表す主要パラメータの一つ
(参考)5.ファイバーを用いた空間モード、非線形散乱に関するもの
「コアの屈折率がクラッドの屈折率に比べわずかにしか大きくないたいていのファイバーは、weekly-guiding条件(n1-n2<<1)で近似できる。この近似により簡略化したモード表現ができる。この簡略化されたモードがLPモード。」
a:コアの半径 n1:コアの屈折率 n2:クラッドの屈折率
〔光の伝搬理論と偏光〕
・電流と電荷がない等方媒質中では、誘電率εと透磁率μは場所によらない定数となり、
真空中の光速c=1/(ε0μ0)^1/2
ε0:真空中の誘電率 μ0:真空中の透磁率
・一様媒質中を伝搬する光は、電界と磁界の強さが光の進行方向に対して垂直な方向に変化しながら伝搬していく
●等位相面:光が伝搬するとき、同じ時刻に同じ強さの電磁界を持つ点の集合
(参考)what is a ray
「光線の方向は等方性媒質中では波面(等位相面)に垂直である。」
●絶対屈折率:真空中と媒質中の光速の比
●分散媒質:絶対屈折率が角周波数に依存する媒質
・分散媒質中では、一般的に群速度と位相速度は異なる値となる
●垂直偏波:伝搬軸に垂直な断面では電界は常に一定方向を向いている偏波状態
(参考)日本財団図書館(電子図書館) 通信講習用 船舶電気装備技術講座【GMDSS】基礎理論編
「電界の面が大地に水平な場合を水平偏波、電界が大地に対して垂直な場合を垂直偏波という。さらに、水平偏波と垂直偏波を同じ位相で混ぜた場合には傾きのある偏波が得られるが、このような偏波を水平、垂直なものを含めて直線偏波といい、電波が進んでもその偏波面の方向(傾き)は変わらない。
これに対して、水平と垂直の両偏波の位相をずらせて混ぜ合わせると、電波の進行とともに偏波面が回転する現象を生ずる。このような電波を円偏波と呼び、混ぜ合わせる電波の強さが異なるときは、だ円偏波となる。」
(参考)PMGS/FTERM(5J012:CA00)
「電磁波の伝搬軸と電界の方向とによって決定される平面を偏波面というが、この偏波面が時間的に一定な波を直線偏波、偏波面が時間的に伝搬軸のまわりに回転し、その回転する電界または磁界の大きさが一定の波を円偏波という。」
〔光ファイバ通信の伝送帯域〕
●光ファイバ通信において伝送帯域:どれだけ高い周波数の信号で変調した光信号を伝送することが可能であるかを示す尺度
・定量的には、光ファイバのベースバンド周波数特性における6dB帯域幅で表される
・光ファイバ伝送路の途中において放射モードが存在しない(入射エネルギーが全て保存された)ときは、パルス波形にひずみは生じない
光のコヒーレンス(可干渉性):波としての干渉の度合いが強いか弱いかの尺度
●空間的なコヒーレンス:光の位相が光の進行方向と垂直な面で揃っている光
・レンズによって集光することが容易であるため、光ファイバのコア内に効率良く入射させるのに適している
●時間的なコヒーレンス(波長の単一性):波長が単一で連続した光
・時間的にコヒーレンスが高い光ほど、明暗の縞をはっきりさせることができる
・半導体レーザは、空間的にも時間的にもコヒーレンスが高い光を得やすい発振機構を持っている。完全なコヒーレント光が得られれば、光の強度変化に代わり光の位相変化を利用した通信が可能
〔光ファイバケーブルの長尺布設が可能な理由〕
・細径
光ファイバ心線の直径は、従来の同軸ケーブルの外部導体直径と比較して細いため、ケーブル化した際、テンションメンバ等を含めても同軸ケーブルより細径とすることができる。そのため、ケーブルドラムが同軸ケーブルの場合と同じ大きさとすると、光ファイバケーブルの方が長く巻くことができ、長尺布設が可能となる
・軽量
光ファイバの主原料であるガラスの比重は、銅の約1/4であるため、光ファイバ心線を集合しケーブル化した状態でもかなりの軽量化ができる。一方、ケーブル布設可能長はケーブル重量に影響されるため、仮に同直径のケーブルを比較した場合、許容けん引張力が同じと想定すると、光ファイバケーブルの方がメタリックケーブルに比較して布設距離を長くできる
・可とう性
一般的に、光ファイバケーブルは、メタリックケーブルと比較して可とう性に優れている
直径20mm程度の同軸ケーブルをマンホール内に布設する場合、癖取りを油圧ベンダーなどの工具を用いて行う必要がある
●SM(シングルモード)型光ファイバ
・伝送損失特性及び伝送帯域特性が優れていること及びその他諸条件などを考慮して、現在一般に使用されている
・モード分散がなく、光損失などにより適用可能距離が決定される
・使用波長が1.3μmで伝送速度が100Mbps以下の場合、最大伝送距離は、ほとんど光ファイバの損失制限で決まり、光ファイバの帯域制限は無視できる
・構造は「モードフィールド径」「外径(クラッド径)」「偏心量」「遮断波長」により決定される
●MM(マルチモード)型光ファイバ
・多くのモードを伝送し、その伝送ルートの差による伝送ひずみにより大容量伝送には不向き
・製造、接続性が比較的容易
・モード分散が分散値に大きく影響し、伝送距離が長くなるほど使用できる帯域が狭くなる
→モード分散の影響により、ベースバンド周波数特性が制限される
・構造は「コア径」「クラッド外径」「開口数」「屈折率分布」により決定される
〔屈折率分布形状による分類〕
┌ステップインデックス形
マルチモード光ファイバ(コアの屈折率の分布)┤
└グレーデットインデックス形
●ステップインデックス形マルチモード光ファイバ
・屈折率が階段状に変化
・コア径がシングルモード光ファイバより大きい
●グレーデットインデックス形マルチモード光ファイバ:コアの中心からファイバの半径方向に屈折率が連続的に変化するもの
・屈折率分布形状(プロファイル)を適切に選ぶことにより、多くの伝搬モードがある距離を伝搬するとき、各伝搬モードの伝搬時間がほぼ等しくなるように設計されたもの
・各伝搬モードの速度
屈折率の大きなコア中心部→遅い
クラッドに近い部分→速い
コアの中心付近での光の伝搬速度は、クラッド付近の伝搬速度よりも遅くなっている
●シングルモード光ファイバ:SI形MMファイバのコア径を小さくし、比屈折率差を非常に小さくすることで、基本モードのみが通過するように設計された光ファイバ
・光ファイバがシングルモード形になるための条件:規格化周波数V=2πa√n1^2-n2^2/λ<2.405
n1:コアの屈折率 n2:クラッドの屈折率 a:コアの半径 λ:伝搬する光の波長
〔光ファイバのパラメータ〕
┌コア径、外径(クラッド径)…光損失、伝送帯域、機械的強度などに影響を及ぼす
┌構造パラメータ┤
光ファイバのパラメータ┤ └偏心率と非円率…接続損失に大きな影響を及ぼす
└光学的パラメータ…比屈折率差、受口角と開口数、屈折率分布係数
空気の屈折率n0=1
θmax:光が光ファイバ内を全反射して伝搬する最大入射角
コアとクラッドの比屈折率差Δ=(n1-n2)/n1
sinθmax≒n1√2Δ=n1√2(n1-n2)/n1(開口数NA):光源と光ファイバの結合効率を示す基本的なパラメータ
・光源と光ファイバの結合効率に影響を与える
・光ファイバの接続損失に関してもコア径より大きな影響を与える基本的なパラメータ
・大きいほど光を効率良く光ファイバ内に入射できる
スネルの法則より、n1cosθ1=n2cosθ2
θ1=θcとなったとき、θ2=0となる。
cosθ1=(n2/n1)cosθ2
cosθc=(n2/n1)cos0=n2/n1
より、このときの入射角θc=cos-1(n2/n1)
入射角<θc→光線は透過せずにコア側に全反射し、光ファイバ中を伝搬できる
●受口角:光ファイバへの光の入射条件を示すもの
●モードフィールド直径:光ファイバの径方向の光強度分布がガウス形で近似できるとき、光強度が最大値に対して1/e^2になるところの直径
・SMファイバはコア径が小さく、比率屈折率が小さいため、光学的手法ではコアとクラッドの識別が困難なため、モードフィールド直径が用いられている
●偏心率(量):コア外周円の中心とクラッド外周円の中心とのずれ=X/d
〔光ファイバの伝搬モード〕
●伝搬モード:光ファイバ中で存在できる電界分布は特定のものだけであり、長距離にわたって光ファイバ中に存在できるもの
・反射角度の小さい順に0次モード、1次モード、2次モード、…といわれる
・伝搬モード数Nは、2asinθc≧Nλ/2を満たす最大の整数であり、有限である
λ:光の波長 a:コアの半径 θc:臨界角
・光ファイバ中に存在できる伝搬モード数は、「コア径」「屈折率」「光の波長」などによって決まる
(参考)光ファイバの基礎
「コアに入射されたどんな光でも遠くまで伝搬できる訳ではありません。
コア内に閉じこめられた光は、クラッドとの境界面で全反射を繰り返し伝搬していきますが、この時反射光同志の干渉によってお互いに強め合う(位相が一致する)場合には遠くまで光が伝搬しますが、それ以外の(位相がズレる)場合には遠くまで伝搬せずに途中で消滅してしまいます。この位相が一致するか否かは、入射する光の角度によって決まります。
この様に、ある特定の角度で反射しながら消減せずに伝搬していく光の組を伝搬モードと呼び、入射角度の小さいものから、0次モード, 1次モード, 2次モード・・・・といいます。
0次モードしか伝搬しない光ファイバがシングルモードファイバで、複数のモードがあるものをマルチモードファイバといいます。
したがって、コアに対して水平~臨界角までの間でモード数が決定されます。
ちなみに、マルチモード(ステップインデックス型光ファイバ)では、臨界角ではなくコア材とクラッド材の屈折率差という言葉を使います。」
・GI形光ファイバのコアの屈折率分布は放物線状
低次モードの光→屈折率の大きい中心部
高次モードの光→屈折率の小さい周辺部
により、各モードの到達時間をほぼ等しくしている
・光ファイバは、伝搬モードが同じ種類の光ファイバ同士でないと、信号伝達が正常に実行できない
(MM光ファイバとSM光ファイバを機械的に接続した場合)
100%伝達可能
SM―――――→MM
SM←―――――MM
数%のみ伝達
・マルチモード光ファイバは各波長ごとに複数の伝搬モードが存在できるが、波長が短くなるほど、より多くの伝搬モードが存在できる
光ファイバーのコアとクラッドの屈折率の差、コアの太さの関係からある特定の角度を持つもののみが反射を繰り返して伝わっていく。●基本モード:光導波路の最低次のモード、即ち最小のカットオフ周波数を持つ導波モード
この特定の角度で伝播する光を伝播モードという。
波長が短いほど、多くの伝搬モードが存在できるんじゃなかったっけ?
シングルモード光ファイバは遮断波長よりも波長を短くすると、単一モードが多モードになってしまうんだし。
・SM光ファイバを伝搬する基本モードはLP01もしくはHE11で示される
・光ファイバのコア軸の中心で最も電界が強くなる電界分布を示す
●高次モード:電界が最も強くなる箇所がコア軸の中心から外側にずれて、コア軸の中心部では電界がゼロとなるモード
・高次の伝搬モードでは、遮断波長の近傍で光ファイバの曲がりにより生ずる放射損失が急激に大きくなる
→ファイバを曲げることによってその損失波長特性を測定し、損失が急激に大きくなる波長を知ることによって遮断波長を測定できる
〔遮断(カットオフ)波長〕
●カットオフ波長:シングルモード伝搬となる最小波長
・シングルモード光ファイバにおいて、基本モードLP01より高次モードLP11が存在できなくなる波長
・シングルモード光ファイバの特性を表す主要パラメータの一つ
(参考)5.ファイバーを用いた空間モード、非線形散乱に関するもの
「コアの屈折率がクラッドの屈折率に比べわずかにしか大きくないたいていのファイバーは、weekly-guiding条件(n1-n2<<1)で近似できる。この近似により簡略化したモード表現ができる。この簡略化されたモードがLPモード。」
a:コアの半径 n1:コアの屈折率 n2:クラッドの屈折率
〔光の伝搬理論と偏光〕
・電流と電荷がない等方媒質中では、誘電率εと透磁率μは場所によらない定数となり、
真空中の光速c=1/(ε0μ0)^1/2
ε0:真空中の誘電率 μ0:真空中の透磁率
・一様媒質中を伝搬する光は、電界と磁界の強さが光の進行方向に対して垂直な方向に変化しながら伝搬していく
●等位相面:光が伝搬するとき、同じ時刻に同じ強さの電磁界を持つ点の集合
(参考)what is a ray
「光線の方向は等方性媒質中では波面(等位相面)に垂直である。」
●絶対屈折率:真空中と媒質中の光速の比
●分散媒質:絶対屈折率が角周波数に依存する媒質
・分散媒質中では、一般的に群速度と位相速度は異なる値となる
●垂直偏波:伝搬軸に垂直な断面では電界は常に一定方向を向いている偏波状態
(参考)日本財団図書館(電子図書館) 通信講習用 船舶電気装備技術講座【GMDSS】基礎理論編
「電界の面が大地に水平な場合を水平偏波、電界が大地に対して垂直な場合を垂直偏波という。さらに、水平偏波と垂直偏波を同じ位相で混ぜた場合には傾きのある偏波が得られるが、このような偏波を水平、垂直なものを含めて直線偏波といい、電波が進んでもその偏波面の方向(傾き)は変わらない。
これに対して、水平と垂直の両偏波の位相をずらせて混ぜ合わせると、電波の進行とともに偏波面が回転する現象を生ずる。このような電波を円偏波と呼び、混ぜ合わせる電波の強さが異なるときは、だ円偏波となる。」
(参考)PMGS/FTERM(5J012:CA00)
「電磁波の伝搬軸と電界の方向とによって決定される平面を偏波面というが、この偏波面が時間的に一定な波を直線偏波、偏波面が時間的に伝搬軸のまわりに回転し、その回転する電界または磁界の大きさが一定の波を円偏波という。」
〔光ファイバ通信の伝送帯域〕
●光ファイバ通信において伝送帯域:どれだけ高い周波数の信号で変調した光信号を伝送することが可能であるかを示す尺度
・定量的には、光ファイバのベースバンド周波数特性における6dB帯域幅で表される
・光ファイバ伝送路の途中において放射モードが存在しない(入射エネルギーが全て保存された)ときは、
ファイバ伝搬後、パルスの幅が広がるのは伝搬モードから放射モードへの変換(構造分散)だけではなく材料分散(マルチモードファイバならモード分散も)によって、パルスは広がると思う。〔光のコヒーレンスを高めるための要素〕
光のコヒーレンス(可干渉性):波としての干渉の度合いが強いか弱いかの尺度
●空間的なコヒーレンス:光の位相が光の進行方向と垂直な面で揃っている光
・レンズによって集光することが容易であるため、光ファイバのコア内に効率良く入射させるのに適している
●時間的なコヒーレンス(波長の単一性):波長が単一で連続した光
・時間的にコヒーレンスが高い光ほど、明暗の縞をはっきりさせることができる
・半導体レーザは、空間的にも時間的にもコヒーレンスが高い光を得やすい発振機構を持っている。完全なコヒーレント光が得られれば、光の強度変化に代わり光の位相変化を利用した通信が可能
〔光ファイバケーブルの長尺布設が可能な理由〕
・細径
光ファイバ心線の直径は、従来の同軸ケーブルの外部導体直径と比較して細いため、ケーブル化した際、テンションメンバ等を含めても同軸ケーブルより細径とすることができる。そのため、ケーブルドラムが同軸ケーブルの場合と同じ大きさとすると、光ファイバケーブルの方が長く巻くことができ、長尺布設が可能となる
・軽量
光ファイバの主原料であるガラスの比重は、銅の約1/4であるため、光ファイバ心線を集合しケーブル化した状態でもかなりの軽量化ができる。一方、ケーブル布設可能長はケーブル重量に影響されるため、仮に同直径のケーブルを比較した場合、許容けん引張力が同じと想定すると、光ファイバケーブルの方がメタリックケーブルに比較して布設距離を長くできる
・可とう性
一般的に、光ファイバケーブルは、メタリックケーブルと比較して可とう性に優れている
直径20mm程度の同軸ケーブルをマンホール内に布設する場合、癖取りを油圧ベンダーなどの工具を用いて行う必要がある
by 9denki
| 2006-04-30 09:04
| 通信線路