2006年 05月 02日
屋外線路設備の腐食発生原因とその一般的な対策
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〔屋外線路設備に発生する金属腐食〕
┌直流電気鉄道などからの迷走電流により生ずる電食
主な腐食の原因(電気化学腐食)┤
└埋設金属体の表面に形成される局部電池作用による腐食など人為的電気設備以外の要因で生ずる自然腐食
(参考)防せい防食用語検索
「迷走電流腐食:正規の回路以外のところを流れる電流によって生じる腐食」
〔電気化学腐食の基本的な対策〕
・腐食発生原因の除去
・埋設金属体への電流の打ち消し
・電流の遮断
・架空構造物では、大気中の酸素が水と反応して腐食を発生させ、特に「海塩粒子」「腐食性ガス」などが存在する場合、その反応は著しく促進される
「海塩粒子」…海塩粒子の付着により、金属表面の吸湿性が増すとともに、水膜の導電率が高くなる
「腐食性ガス」…亜硫酸ガス、二酸化窒素、塩素などの可溶性ガス類は、金属表面上の水膜に溶け込む
・代表的な高耐食性材料…ステンレス鋼やアルミニウムのように不動態といわれる極めて緻密な被覆を表面に形成した腐食しにくい金属、溶融亜鉛メッキ、Zn-Al合金メッキ
不動態:標準電位列で卑な金属であるにもかかわらず、電気化学的に貴な金属であるような挙動を示す状態
・極めて緻密な皮膜が形成されることにより、ほとんど腐食しないという性質がある
・不働態皮膜を形成するタイプの金属は、孔食と言われる局部的な腐食が発生する場合があるので注意が必要
〔腐食環境からの遮断対策〕
●塗装:金属を塗膜で覆って腐食の原因となる水や酸素を遮断することにより腐食を防止する方法
┌膜厚0.05~0.2mm程度の一般的な塗装
塗装┤
└膜厚1~2mm程度としてより耐食性を向上させた有機ライニング
・塗装は紫外線によって劣化するため、定期的な塗装替えによるメンテナンスが必要
(参考)鋼管杭の防食法に関する研究
「■有機ライニング
ポリエチレンライニング、水中硬化型ライニングなどに代表されるように有機系材料により鋼材表面を被覆する防食工法で、塗装と比べ、一般に膜厚が2~10mmと厚く施工されます。」
(参考)防せい防食用語検索
「ライニング:金属の表面を飽食するため、その表面に、他の複合材料を比較的厚く被覆すること
金属・無機物質などを溶射、焼き付け、はり合わせなどで被覆する無機質ライニングと、有機物質を流動浸せき、溶射、塗布、はり合わせなどで被覆する有機質ライニングとがある。」
・錆腐食により劣化した金属管路の内部を清掃した後、エポキシ樹脂の塗膜を管内面に施行して錆腐食の進行を防ぐ
管内面ライニング法:非開削工法で行われ、錆腐食により劣化した金属管路の内部を清掃した後、エポキシ樹脂の塗膜を管内面にライニングを行い、錆腐食の進行を防ぐ方法
・塗装や電気防食以外の腐食防止方法の一つとして、腐食に強い材料を用いる方法がある
〔地下埋設物の腐食〕
・一般に、ケーブルにおける電食は、金属外被を持つ鉛被地下ケーブルに発生する問題であり、プラスチック外被のケーブル自体には発生しない
→PECケーブルにおいて、マンホール内や管路内の溜水によりケーブル外被に腐食が発生する場合がある
・地下管路に布設されている鉛被ケーブルでは、管路内の溜水中に鉛被に対する腐食性が高いイオン(硝酸イオン、塩素イオン等)が含まれている場合、管路とケーブルの間隙に腐食性イオンが凝縮されるため、導電率が高くなり、ミクロ電池作用による隙間腐食が発生する確率が高い
(参考)熱管理 Q&A/Mar.1999
「隙間内のステンレス鋼は、最初は表面が不働態化しているため溶解量は少ないんですが、溶解した金属の腐食生成物は孔食と同じように加水分解して水素イオンを発生したり、電気的中性を保つために塩素イオンが隙間に集められて濃度が高まります。」
(参考)30394
「隙間腐食:極めて狭い隙間の下にある金属材料が局所的に起こす腐食
水溶液の導電率は、水中に溶けているイオン量と、そのイオンの電気を運ぶ速さによって支配され、水の導電率が大きいほど水に接する金属の電気化学作用が激しくなります。金属の種類、イオンの種類、腐食生成物の特性などにより腐食の進行速度は異なりますが少なくとも腐食の第一段として電気化学作用は大きくなるので、導電率が大きくなると、その水は腐食性が高くなる恐れがあります。」
●防食鋼管:配管用炭素鋼管の内外面に合成樹脂塗料を焼付け塗装したもの
・金属管の中でも腐食に強い
・主として電柱などへの引上げ管路や橋梁添架区間に適用されている
・現在は、腐食しない軽量で取扱いが容易な硬質ビニル管が新設管路に広く使われている
・マンホール内の付属金物などは、溜水中に生息する硫酸塩還元バクテリアや硫黄バクテリアなどが生成する硫化水素などの化学物質によっても腐食する場合がある
対策:一般の防食対策では全く効果が得られないため、現在のところマンホール内の洗浄が、唯一有効な手段となっているエポキシ系樹脂接着剤を用いて鋼板又はレジン板をひび割れ、亀裂箇所などに圧着し、補修する
〔架空構造物の腐食〕
・亜鉛メッキを施した吊線などの鋼より線では、塩害や工場のばい煙による特殊環境を除けば、一般に、風雨に直接さらされている露出部分が最も腐食しやすい。
接続端子函内やケーブルカバー内などでは、腐食は通常発生しにくいが、施工時の取り付け不良などがあると腐食が発生する
コンクリートポールが適用できない場合→UC(Un-Corrosive)鋼管継柱又はAE(Anti-Electric Corrosive)鋼管継柱を使用する
AE鋼管継柱:アルミメッキを施した上管に耐候性鋼管の下管を嵌合させた鋼管柱
・下部支線の腐食は、埋設深度が深いほど腐食が激しい傾向がある
原因:地中の浅い所の方が、深い所と比較して通気性が良いため
対策:被覆強度が強く、耐衝撃性の高い有機塗覆を施した防食タイプの支線アンカ及び支線ロッドを使用することにより、腐食による被害を少なくする
●異種金属接触腐食:異なる種類の金属材料が溜水を介して電気的に接触し、腐食を発生する現象
・マンホール内の金物において、ケーブル受金物、筋金物及びプーリングボルトの溜水に浸かっている部分だけが腐食することがある
(参考)埋設管保安高度化技術 保安専門技術者研修テキスト
「マクロセル腐食とは、腐食する部分と腐食しない部分とが位置的にはっきり分かれて見ることのできる腐食で、腐食する部分から腐食しない部分へ電解質(土壌など)を通って電流が流れる大きな電池を形成している状態なので、macro+cellの意味からこのように呼んでいる。マクロセル腐食には、次の様な種類がある。
(1) コンクリート/土壌系マクロセル腐食
コンクリートの中は強いアルカリ性のため、コンクリート中の鉄は土中の鉄に比べて高い電位(-250mV)を示す。したがってコンクリート中の鉄筋と埋設管が接触すると、土中の埋設管(-550mV~-750mV)とコンクリート中の鉄筋の間で電位差(300~500mV)が生じ、土中の埋設管が腐食する。これがコンクリート/土壌系マクロセル腐食でC/S系マクロセル腐食とも呼ばれている。
(2) 通気差マクロセル腐食
埋設管が粘土と砂とにまたがって配管されている場合や、舗装道と砂利道にまたがって配管されている場合などは、土中に通気性の差による酸素濃度の差が生じる。この場合、通気性が悪く酸素濃度の低い方が電位が下り、酸素濃度の高いところとの間に電位差が生じ、通気性の悪い方が腐食を起こす。この様な腐食現象を通気差マクロセル腐食と言っている。
(3) 異種金属マクロセル腐食
自然電位の異なる2種類の金属、たとえば鉄と銅を電解液の中に入れた場合、銅にくらべて鉄の方の電位が300mV低いので電解液中では、鉄がイオンとなって溶け出すと同時に、鉄から銅の方に向って電流が流れる。さらに、電解液外では、電線を伝って銅から鉄に向って電流が流れる。このようにして、銅と鉄の間に電池が形成され、鉄はイオンとなって溶液中に溶け出していく現象を、異種金属マクロセル腐食と言っている。」
(参考)防せい防食用語検索
「濃淡電池腐食:金属表面に接触する水溶液中のイオンや溶存酸素の濃度が局部的に異なるために生じた電池による腐食
通気差電池:溶存酸素濃度の差異によって起電力を生じた電池」
・吊り線とアースクランプの間に腐食生成物や異物が蓄積し、電気的接続が不完全になる状態において、表面に付着した水分を介して電流パスが形成され、陽極となった金属が電解腐食により溶出し腐食が進行する
→アースクランプ部での破断原因の一つ
〔電食対策とその調査方法〕
●選択排流方式:鉄道のレール等へ埋設管などの金属体を電気的に接続して、埋設金属体を流れる電流を直接大地に流出させず、一括してレール又は変電所に帰還させる方法
:地下埋設金属体に流れる電流を変電所に排流する場合、負荷の変動によって電流が逆流することがあるので、それを阻止し一方向だけ選んで排流する機能を持った選択排流器を設置する方法
・直流電気鉄道に起因する電食の一般的な防止対策
●流電陽極方式:地下埋設金属体より標準単極電位の低い金属として、亜鉛板を陽極として埋設し、これを地下埋設金属体と接続することにより、両者間に発生する電位差によって、地下埋設金属体から流出する電流を打ち消すような流入電流を作って電食を阻止する方法
(参考)電気防食工法の原理と効果
「電気防食の方式には,外部電源方式と流電陽極方式の二つの方式があります.
外部電源方式は直流電源装置と補助陽極および防食する鋼材と電気回路を作り,直流電源装置より防食電流を流出し,補助陽極(電極)を通して防食電流を鋼材へ流入させる方法です.
流電陽極方式は,金属のイオン化傾向の高低を利用したもので,鉄よりイオン化傾向の高い金属(Al,Zn,Mg等)を鉄とつなぎ,鉄がイオン化(腐食)するのに代わって,それらの金属がイオン化することにより鋼材の腐食を防ぐものです.すなわち,防食する鋼材を陰極にして,鋼材よりもイオン化傾向の高い(卑)金属を陽極として電池を完成させ,両極間の電位差によって防食電流を流す方法です.」
●干渉による電食:埋設金属体に電気防食を実施した場合、防食電流の一部が近接した無防食の埋設金属体に流入する
調査:できるだけ正確に状況を把握するため、測定地点は3箇所以上選定し、同時測定を行う
(参考)埋設管保安高度化技術 保安専門技術者研修テキスト
「埋設金属に外部電源装置、選択排流器または強制排流器による電気防食を実施したとき、これに近接する他の埋設金属体に防食電流の一部が流入し、流出部において腐食を引き起こすことがある。これを干渉による電食という。」
●電気防食:電流を金属に流入させることにより腐食を防止する方法
・水中や土壌中での金属の腐食防止に有効
・電流を流す方法
├専用の電源装置を用いる方法
└亜鉛やマグネシウムなどの流電陽極を取り付けて、金属間のイオン化傾向の差(電池作用)を利用して電流を流す方法
(参考)電気防食:社団法人日本鉄鋼連盟
「腐食環境中に設置された電極から防食すべき金属材料に直流電流を通電することによって、金属を腐食しない電位にまで変化させて防食する方法を電気防食といいます。
通電には、防食される金属よりも卑な(低い)電位をもつ溶解(腐食)しやすい金属をとりつける方法(流電陽極法)と、不溶性(難溶性)電極を設置して直流電圧を印加する方法(外部電源法)の2通りがあります。
流電陽極法:鋼より卑な(低い)電位をもつアルミニウム系(原則的に海水の場合)、マグネシウム系、あるいは、亜鉛系合金からなる流電陽極を被防食体にとりつけ、両者の電位差による電池作用を利用して被防食体に防食電流を通電する方法
外部電源法:腐食環境中に設置した電極と被防食体の間に外部電源から電圧をかけて、電極から電解質を通じて防食電流を被防食体に通電する方法」
・電食…直流電気鉄道軌条の両側概ね4km以内を電食調査対象
調査:結果、電食の危険があると考えられる区域と判断された場合、必要な電食防止対策を講ずる
(参考)電気技術解説講座:電食のはなし
〔腐食に起因した設備劣化〕
・塩害地域に設置されている所外設置通信装置(RTなど)では、装置の扉開閉などによって海塩粒子が内部に侵入し、腐食が発生することがある
例)プリント基板の部品端子のハンダ付け部や配線パターン部分
(RT(リレーターミナル):銅線と光ファイバの変換装置)
・とう道やマンホールの鉄筋コンクリート壁において、比較的短期間に内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを押し上げて局部的に壁のはく離が生ずる場合がある
原因:施工不良によるもの
補修方法:鉄筋の錆を取り除いた後、プライマの塗布、埋戻し、化粧仕上げなどを行う
・鋼管柱では、張り紙防止シートや番号札の裏側に隙間腐食を起こすことがある
補修方法:腐食成分を含まないポリウレタン系塗料及びニトリルゴム系接着剤などを使用する
●遅れ破壊(応力腐食割れ):金属が静的応力下で窒素の影響によって割れたように腐食が進行するもので、ある時間を経過しながら徐々に破断が起こる現象
(参考)用語解説のページ
「応力腐食割れ:応力(材料に掛かる力)と電気化学腐食相互の作用で、亀裂が時間と共に成長し破壊に至る現象
遅れ破壊:腐食性環境の中で材料に一定の応力をかけておくと、ある時間後に破壊する」
・特に不平衡荷重の加わったコンクリート柱の鉄筋などにこの現象が生ずると、コンクリート柱は急に倒壊するため、定期的な点検が必要である
┌直流電気鉄道などからの迷走電流により生ずる電食
主な腐食の原因(電気化学腐食)┤
└埋設金属体の表面に形成される局部電池作用による腐食など人為的電気設備以外の要因で生ずる自然腐食
(参考)防せい防食用語検索
「迷走電流腐食:正規の回路以外のところを流れる電流によって生じる腐食」
〔電気化学腐食の基本的な対策〕
・腐食発生原因の除去
・埋設金属体への電流の打ち消し
・電流の遮断
・架空構造物では、大気中の酸素が水と反応して腐食を発生させ、特に「海塩粒子」「腐食性ガス」などが存在する場合、その反応は著しく促進される
「海塩粒子」…海塩粒子の付着により、金属表面の吸湿性が増すとともに、水膜の導電率が高くなる
「腐食性ガス」…亜硫酸ガス、二酸化窒素、塩素などの可溶性ガス類は、金属表面上の水膜に溶け込む
・代表的な高耐食性材料…ステンレス鋼やアルミニウムのように不動態といわれる極めて緻密な被覆を表面に形成した腐食しにくい金属、溶融亜鉛メッキ、Zn-Al合金メッキ
不動態:標準電位列で卑な金属であるにもかかわらず、電気化学的に貴な金属であるような挙動を示す状態
・極めて緻密な皮膜が形成されることにより、ほとんど腐食しないという性質がある
・不働態皮膜を形成するタイプの金属は、孔食と言われる局部的な腐食が発生する場合があるので注意が必要
〔腐食環境からの遮断対策〕
●塗装:金属を塗膜で覆って腐食の原因となる水や酸素を遮断することにより腐食を防止する方法
┌膜厚0.05~0.2mm程度の一般的な塗装
塗装┤
└膜厚1~2mm程度としてより耐食性を向上させた有機ライニング
・塗装は紫外線によって劣化するため、定期的な塗装替えによるメンテナンスが必要
(参考)鋼管杭の防食法に関する研究
「■有機ライニング
ポリエチレンライニング、水中硬化型ライニングなどに代表されるように有機系材料により鋼材表面を被覆する防食工法で、塗装と比べ、一般に膜厚が2~10mmと厚く施工されます。」
(参考)防せい防食用語検索
「ライニング:金属の表面を飽食するため、その表面に、他の複合材料を比較的厚く被覆すること
金属・無機物質などを溶射、焼き付け、はり合わせなどで被覆する無機質ライニングと、有機物質を流動浸せき、溶射、塗布、はり合わせなどで被覆する有機質ライニングとがある。」
・錆腐食により劣化した金属管路の内部を清掃した後、エポキシ樹脂の塗膜を管内面に施行して錆腐食の進行を防ぐ
管内面ライニング法:非開削工法で行われ、錆腐食により劣化した金属管路の内部を清掃した後、エポキシ樹脂の塗膜を管内面にライニングを行い、錆腐食の進行を防ぐ方法
・塗装や電気防食以外の腐食防止方法の一つとして、腐食に強い材料を用いる方法がある
〔地下埋設物の腐食〕
・一般に、ケーブルにおける電食は、金属外被を持つ鉛被地下ケーブルに発生する問題であり、プラスチック外被のケーブル自体には発生しない
→
確か外被のPEは腐食しないんでは?しかし、クロージャの付属金物などは金属であるため、条件によっては腐食が発生することから腐食対策が必要である
・地下管路に布設されている鉛被ケーブルでは、管路内の溜水中に鉛被に対する腐食性が高いイオン(硝酸イオン、塩素イオン等)が含まれている場合、管路とケーブルの間隙に腐食性イオンが凝縮されるため、導電率が高くなり、ミクロ電池作用による隙間腐食が発生する確率が高い
(参考)熱管理 Q&A/Mar.1999
「隙間内のステンレス鋼は、最初は表面が不働態化しているため溶解量は少ないんですが、溶解した金属の腐食生成物は孔食と同じように加水分解して水素イオンを発生したり、電気的中性を保つために塩素イオンが隙間に集められて濃度が高まります。」
(参考)30394
「隙間腐食:極めて狭い隙間の下にある金属材料が局所的に起こす腐食
水溶液の導電率は、水中に溶けているイオン量と、そのイオンの電気を運ぶ速さによって支配され、水の導電率が大きいほど水に接する金属の電気化学作用が激しくなります。金属の種類、イオンの種類、腐食生成物の特性などにより腐食の進行速度は異なりますが少なくとも腐食の第一段として電気化学作用は大きくなるので、導電率が大きくなると、その水は腐食性が高くなる恐れがあります。」
●防食鋼管:配管用炭素鋼管の内外面に合成樹脂塗料を焼付け塗装したもの
・金属管の中でも腐食に強い
・主として電柱などへの引上げ管路や橋梁添架区間に適用されている
・現在は、腐食しない軽量で取扱いが容易な硬質ビニル管が新設管路に広く使われている
・マンホール内の付属金物などは、溜水中に生息する硫酸塩還元バクテリアや硫黄バクテリアなどが生成する硫化水素などの化学物質によっても腐食する場合がある
対策:
〔架空構造物の腐食〕
・亜鉛メッキを施した吊線などの鋼より線では、塩害や工場のばい煙による特殊環境を除けば、一般に、風雨に直接さらされている露出部分が最も腐食しやすい。
接続端子函内やケーブルカバー内などでは、腐食は通常発生しにくいが、施工時の取り付け不良などがあると腐食が発生する
ケーブルの腐食部分から接続端子函内に進行していく・塩害や土壌による化学腐食の恐れがある地域では、基本的にコンクリートポールを適用する
コンクリートポールが適用できない場合→UC(Un-Corrosive)鋼管継柱又はAE(Anti-Electric Corrosive)鋼管継柱を使用する
AE鋼管継柱:アルミメッキを施した上管に耐候性鋼管の下管を嵌合させた鋼管柱
・下部支線の腐食は、埋設深度が深いほど腐食が激しい傾向がある
原因:地中の浅い所の方が、深い所と比較して通気性が良いため
対策:被覆強度が強く、耐衝撃性の高い有機塗覆を施した防食タイプの支線アンカ及び支線ロッドを使用することにより、腐食による被害を少なくする
通気性がいいと腐食しにくいとか●通気差電池作用:非防食タイプの下部支線などが、異なった土壌層にまたがって埋設されている場合、土壌の通気性が異なることによって、同一の金属間でもマクロ電池が形成され、通気性の悪い土質中に埋設された部分で激しく腐食する
土壌で通気性が悪いってことは湿ってるってことだから、そんなとこに金属置いといて良いわけない
下部支線の腐食は、通気性のよい地中の浅い所と通気性の悪い深い所との境界付近で発生する。
これは、通気差腐食(通気性の悪い部分のイオン化傾向は、良い部分に比べて大きく、この部分が著しく腐食する)が発生するためである。
●異種金属接触腐食:異なる種類の金属材料が溜水を介して電気的に接触し、腐食を発生する現象
・マンホール内の金物において、ケーブル受金物、筋金物及びプーリングボルトの溜水に浸かっている部分だけが腐食することがある
(参考)埋設管保安高度化技術 保安専門技術者研修テキスト
「マクロセル腐食とは、腐食する部分と腐食しない部分とが位置的にはっきり分かれて見ることのできる腐食で、腐食する部分から腐食しない部分へ電解質(土壌など)を通って電流が流れる大きな電池を形成している状態なので、macro+cellの意味からこのように呼んでいる。マクロセル腐食には、次の様な種類がある。
(1) コンクリート/土壌系マクロセル腐食
コンクリートの中は強いアルカリ性のため、コンクリート中の鉄は土中の鉄に比べて高い電位(-250mV)を示す。したがってコンクリート中の鉄筋と埋設管が接触すると、土中の埋設管(-550mV~-750mV)とコンクリート中の鉄筋の間で電位差(300~500mV)が生じ、土中の埋設管が腐食する。これがコンクリート/土壌系マクロセル腐食でC/S系マクロセル腐食とも呼ばれている。
(2) 通気差マクロセル腐食
埋設管が粘土と砂とにまたがって配管されている場合や、舗装道と砂利道にまたがって配管されている場合などは、土中に通気性の差による酸素濃度の差が生じる。この場合、通気性が悪く酸素濃度の低い方が電位が下り、酸素濃度の高いところとの間に電位差が生じ、通気性の悪い方が腐食を起こす。この様な腐食現象を通気差マクロセル腐食と言っている。
(3) 異種金属マクロセル腐食
自然電位の異なる2種類の金属、たとえば鉄と銅を電解液の中に入れた場合、銅にくらべて鉄の方の電位が300mV低いので電解液中では、鉄がイオンとなって溶け出すと同時に、鉄から銅の方に向って電流が流れる。さらに、電解液外では、電線を伝って銅から鉄に向って電流が流れる。このようにして、銅と鉄の間に電池が形成され、鉄はイオンとなって溶液中に溶け出していく現象を、異種金属マクロセル腐食と言っている。」
(参考)防せい防食用語検索
「濃淡電池腐食:金属表面に接触する水溶液中のイオンや溶存酸素の濃度が局部的に異なるために生じた電池による腐食
通気差電池:溶存酸素濃度の差異によって起電力を生じた電池」
・吊り線とアースクランプの間に腐食生成物や異物が蓄積し、電気的接続が不完全になる状態において、表面に付着した水分を介して電流パスが形成され、陽極となった金属が電解腐食により溶出し腐食が進行する
→アースクランプ部での破断原因の一つ
〔電食対策とその調査方法〕
●選択排流方式:鉄道のレール等へ埋設管などの金属体を電気的に接続して、埋設金属体を流れる電流を直接大地に流出させず、一括してレール又は変電所に帰還させる方法
:地下埋設金属体に流れる電流を変電所に排流する場合、負荷の変動によって電流が逆流することがあるので、それを阻止し一方向だけ選んで排流する機能を持った選択排流器を設置する方法
・直流電気鉄道に起因する電食の一般的な防止対策
なら整流器の働きをする選択排流器の役割を果たすのは、その文ではどれに当たる?●外部電源方式:陽極接地体を埋設し、これと地下埋設金属体との間に直流電源を挿入し、地下埋設金属体から流出する電流を打ち消す流入電流を作って電食を阻止する強制排流器を用いた方法
一括してレール又は変電所に帰還
↓
レール←-整流器←-管路
変電所
電流を直接大地に流出させず、
↓
整流器で方向性を持たせないと逆に拡散に寄与するからな
●流電陽極方式:地下埋設金属体より標準単極電位の低い金属として、亜鉛板を陽極として埋設し、これを地下埋設金属体と接続することにより、両者間に発生する電位差によって、地下埋設金属体から流出する電流を打ち消すような流入電流を作って電食を阻止する方法
(参考)電気防食工法の原理と効果
「電気防食の方式には,外部電源方式と流電陽極方式の二つの方式があります.
外部電源方式は直流電源装置と補助陽極および防食する鋼材と電気回路を作り,直流電源装置より防食電流を流出し,補助陽極(電極)を通して防食電流を鋼材へ流入させる方法です.
流電陽極方式は,金属のイオン化傾向の高低を利用したもので,鉄よりイオン化傾向の高い金属(Al,Zn,Mg等)を鉄とつなぎ,鉄がイオン化(腐食)するのに代わって,それらの金属がイオン化することにより鋼材の腐食を防ぐものです.すなわち,防食する鋼材を陰極にして,鋼材よりもイオン化傾向の高い(卑)金属を陽極として電池を完成させ,両極間の電位差によって防食電流を流す方法です.」
●干渉による電食:埋設金属体に電気防食を実施した場合、防食電流の一部が近接した無防食の埋設金属体に流入する
調査:できるだけ正確に状況を把握するため、測定地点は3箇所以上選定し、同時測定を行う
(参考)埋設管保安高度化技術 保安専門技術者研修テキスト
「埋設金属に外部電源装置、選択排流器または強制排流器による電気防食を実施したとき、これに近接する他の埋設金属体に防食電流の一部が流入し、流出部において腐食を引き起こすことがある。これを干渉による電食という。」
●電気防食:電流を金属に流入させることにより腐食を防止する方法
・水中や土壌中での金属の腐食防止に有効
・電流を流す方法
├専用の電源装置を用いる方法
└亜鉛やマグネシウムなどの流電陽極を取り付けて、金属間のイオン化傾向の差(電池作用)を利用して電流を流す方法
(参考)電気防食:社団法人日本鉄鋼連盟
「腐食環境中に設置された電極から防食すべき金属材料に直流電流を通電することによって、金属を腐食しない電位にまで変化させて防食する方法を電気防食といいます。
通電には、防食される金属よりも卑な(低い)電位をもつ溶解(腐食)しやすい金属をとりつける方法(流電陽極法)と、不溶性(難溶性)電極を設置して直流電圧を印加する方法(外部電源法)の2通りがあります。
流電陽極法:鋼より卑な(低い)電位をもつアルミニウム系(原則的に海水の場合)、マグネシウム系、あるいは、亜鉛系合金からなる流電陽極を被防食体にとりつけ、両者の電位差による電池作用を利用して被防食体に防食電流を通電する方法
外部電源法:腐食環境中に設置した電極と被防食体の間に外部電源から電圧をかけて、電極から電解質を通じて防食電流を被防食体に通電する方法」
・電食…直流電気鉄道軌条の両側概ね4km以内を電食調査対象
調査:結果、電食の危険があると考えられる区域と判断された場合、必要な電食防止対策を講ずる
(参考)電気技術解説講座:電食のはなし
〔腐食に起因した設備劣化〕
・塩害地域に設置されている所外設置通信装置(RTなど)では、装置の扉開閉などによって海塩粒子が内部に侵入し、腐食が発生することがある
例)プリント基板の部品端子のハンダ付け部や配線パターン部分
(RT(リレーターミナル):銅線と光ファイバの変換装置)
・とう道やマンホールの鉄筋コンクリート壁において、比較的短期間に内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを押し上げて局部的に壁のはく離が生ずる場合がある
原因:施工不良によるもの
補修方法:鉄筋の錆を取り除いた後、プライマの塗布、埋戻し、化粧仕上げなどを行う
・鋼管柱では、張り紙防止シートや番号札の裏側に隙間腐食を起こすことがある
補修方法:腐食成分を含まないポリウレタン系塗料及びニトリルゴム系接着剤などを使用する
●遅れ破壊(応力腐食割れ):金属が静的応力下で窒素の影響によって割れたように腐食が進行するもので、ある時間を経過しながら徐々に破断が起こる現象
(参考)用語解説のページ
「応力腐食割れ:応力(材料に掛かる力)と電気化学腐食相互の作用で、亀裂が時間と共に成長し破壊に至る現象
遅れ破壊:腐食性環境の中で材料に一定の応力をかけておくと、ある時間後に破壊する」
・特に不平衡荷重の加わったコンクリート柱の鉄筋などにこの現象が生ずると、コンクリート柱は急に倒壊するため、定期的な点検が必要である
安全率が1を切った時点でボキッと折れる。
本来、不平衡荷重は支線か支柱で受け止めないといけない。
by 9denki
| 2006-05-02 19:18
| 通信線路